長男が入院する前のこと。
我が家に1枚のハガキが届いた。

ゆうちょ銀行からだった。

宛名は長男の名前。
ん?と思いながら、剥がしてみる。(剥がすタイプのハガキでした)

積立貯金の貯金期間が満期を迎え、10年近く経っているとのこと。
10月初旬までに手続きをして、払戻しの請求をしないと、貯金の権利は消滅して払戻しができなくなると記載されている。

ん???

内容は理解できたのだが、私達夫婦には長男の名義で積立貯金をした覚えがないのだ!
もちろん、生まれたときから子どもそれぞれの名義で貯金はしているが、期限付きの積立貯金ではない…

何だろう、これ…
もしかして、どちらかの親が貯めてくれてた?

お互いの両親に確認するが、貯金はしていないと言う。ますます疑問…
ありがたいお金だけれど、積立開始時の通帳と届出印がいるという。
どこにもそんな物はない。
だから、手続きもできない。


でも、私は思い出した。
これ、きっとばあちゃんだ!


まだ長男が小さかった頃のこと。
時々、長男を連れて会いに行っていたのだが、初めてのひ孫をそれはそれは可愛がってくれた。

ある時、会話の中でサラッと長男の名前で積み立てをしていると話していたことがあった。詳しくは話さなかったし、その後もずっとその話は全く出なかったので、記憶の片隅に追いやられたままになっていた。

でもばあちゃんに確かめたくても、その時にはもういない。ちょうどハガキが作成された頃、亡くなったばかりだったから。(つながれた命参照)

お義父さんに連絡して、ばあちゃんの家に通帳がないか探してもらった。
でも見つからず、そうこうしている間に、長男の入院になってしまい今日に至っている。

さすがに手続きしないと、そろそろ期限が切れてしまうと、今日近くの郵便局へ行ってきた。

名義人本人が寮に入っていて来られないこと。積立貯金の通帳と印鑑は、亡くなった祖母が所有していたと思われ、見つからないこと。

事情を説明してハガキを見せると、長男名義なのでお金も長男のものとなり、印鑑の改印を添付して長男の通帳へ払戻しができることになった。

時間はかかったが無事に手続きは終わり、帰り際に気になっていたことを伝えてみた。

「誰が積立をしていたか分かりませんか?」

私の疑問に、郵便局の方々が預入局番号から、どこで通帳を作ったか調べてくださった。


やっぱりばあちゃんだった!


涙が出そうになった。
亡くなる前も、長男の病気を心配していたばあちゃん。
亡くなった直後に、初めてこのハガキが送られてきたのだが、これから入院や手術でお金がかかるからと心配してくれたのかもしれない。
ばあちゃんの優しさを、亡くなってからも感じることができた。


ばあちゃん、ありがとう。