美しい演出 | 心の風景

心の風景

心のあり方や生き方をテーマとしたエッセイなどを載せていきます。同好の方と交流できればうれしいです。

 NHK大河ドラマ『光る君へ』第21回。

 

 今回はまひろが、国司となった父為時の越前行きに同行します。

 

 その前に、逃亡した藤原伊周が捕らえられ、九州へ追放になります。この人、最後まで往生際が悪く、おまけに母親に一緒に行ってもらおうとするマザコンぶり。「見逃してくれ!」と涙ながらに必死に懇願する伊周を、能面のような怖い顔で見下ろす道長でした。

 

 一方後ろ盾もいなくなり、出家して、生きる気力を失った中宮定子を励まそうと、清少納言はまひろの勧めで文章を書いて定子に渡し始めます。これが『枕草子』の始まりでした。

 

 誰もが知っている「春はあけぼの」の仮名書きの一節が、桜吹雪や蛍の乱舞や散る紅葉とともに画面に表われます。美しい場面です。清少納言の定子に対する温かい思いも感じ取れ、ドラマの進行にはそれほど重要な場面ではないのですが、今回最も印象に残りました。

 

 清少納言といえば、才能を鼻にかけたイヤな女、というイメージでしたが、ひょっとするとこのような人であったかもしれないと感じられました。

 

 さて、越前行きを前に、まひろは道長に例の廃屋でまた会います。今回ずっといかめしい顔だった道長はここで初めて感情を表に出します。2人が互いの絆を確かめ合った(控え目な表現です😅)ところで、次回に続きます。

 

 次回は越前に滞在している宋人集団をどう処置するのか。お父さん為時の腕の見せ所です。