・写真は2015年7月撮影のもの。

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・まだカタコトの中国語しか話せなかった頃。

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・広西チワン族自治区桂林へ、ハルピン出身で上海在住の親友ティンティンとふたり旅をした。

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・夏なのに毎日19度と肌寒く、数日間続いている雨で漓江は黄色い濁流となり、川下りの船から霧雨に濡れ鼠になりながら水墨画のような絶景を眺めたのを思い出す。

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・現地で中国人観光客だけのツアーに参加する。

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・市内ホテルから漓江川下りへと向かう道は所々陥没し、車の天井に頭を何度もぶつけてしまうほどデコボコだった。

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・市内を出ると、陥没した箇所を避けながら走るために車線はなく、右へ左へと蛇行運転。

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・山道に入ると片側は今にも落石がありそうな崖、もう片側は柵やフェンスのない断崖。時折、家族なのか三、四人で手作業で煉瓦の縁石を造っている人たちがいたのを思い出す。

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・桂林の観光地に着くと、ツアー客25人で2つの大きな卓を囲み昼食を取る。

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・見ず知らずの人たち同士でも、大皿で出てくる菜(おかず)を直箸で突き合いますが、遠慮をして譲り合っていると食べ損ねてしまう。

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・暫し眺めていたわたしですが、積極的に箸を進めたのを覚えている。

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・大量の油で炒めた青菜、大量の油で炒めた大きな川魚、大きなボールのまま出てきた手作り豆腐、同じく大きなボールにてんこ盛りの黄色いけれど良い香りに炊かれたご飯。

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・どの菜も飾り気なくシンプルな味でしたが、とっても美味しくて頬張って頂く。

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・この時からだと思う。

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・ここでは、些細な事に拘らず楽しむ事に専念すれば良いとわかったのは。

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・夜は、今もなお、貴重な文化を残し暮らしている少数民族の村へ訪ねていく。

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・ジャングルに囲まれた村で工芸品を作り、自然を壊さず暮らす人たち。

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・夜は、灯がないと目を凝らしても何も見えず、カエルや虫の声が鳴り響く。

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・松明の火を持った村の男性がキャンプファイヤーの如く、広場の真ん中の積見上げた薪に火を点ける。

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・村人総動員で観光客を先導し、手を繋ぎ大きな輪を作り、少数民族の踊りに100人余りで参加した。

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・踊りの盛り上がりが最高潮となり、不思議な一体感が生まれる。

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・静かになった村の端の駐車場まで歩き、バスに乗り込む。

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・村人に見送られ、真っ暗なジャングルから市内のホテルまで移動する。

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・今でも、桂林での時間を思い出すと、夢の中にいたような気持ちになる。

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・大きな流れに逆らうことは難しくとも、大河の周りの景色や、悠然と泳ぐ魚や生き物に触れて五感を養うことを忘れたくはないと思っています。