大切な人を失ってから時が過ぎ

いつか元気になれる日、その人がいない現実を受け入れ

折り合いをつけながら過ごすことができる日が来る。

それまでは長い時間、多くの忍耐が求められる。

 

グリーフ(悲嘆)に埋もれ、支配されていた時間を

乗り越えた時には以前の自分とは違う成長した自分、

より豊かになった自分に出会える。

 

その為には「語ること」がとても大切。

 

語ることには浄化、癒しなどの効果があるが、更には

喪失前の自分と、喪失後の変化した現実、

創り出した新しい物語、未来との間を

つなぐもの、橋渡しの役割をするという効果がある。

 

グリーフに限らず、強いストレスを抱えた時、

ストレスにのみ込まれて辛い時、

自分の思い、感情を一度外に出す、語ることは

自分や問題と距離を取れる、

客観的に自分を見られる機会となる。

 

語るために、人に伝えるためには

その話をまとめたり構成を考えたりする作業が必要となり

客観的な視点に立つことになるから。

(ただただ感情の吐露だとしても、吐露しながらも

語りながら、語るうちにまとまりや気づきが出てくる。)

 

喪失に関する経験、思い、感情を語るうちに

その死の、喪失の意味を見出すことができ、

先に進む、それまでの自分より意義のある生き方をする

力を得ていくことになる。

 

自分の悲しみ、苦しみ、思いとしっかり向き合い、

自分の言葉で語ることで新たな物語を創り出す力を得、

私=喪失体験となっていた自分の物語は

私≠喪失体験のみの物語へと変化していくのである。