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疾走感があるお話。
熱いお話でした。

鳥人間コンテスト、あまりしっかり見たことなかったけど、注目したくなりました。




余計なものを全て削ぎ落としていって、最後に唯一残された、ふわり、と浮くだけの意志。
湖面の数メートル上を滑るように進んでいく機体は、シンプルな意志そのものだ。

意志と風が手を繋いで、このフライトを構成している。
まっすぐに湖上を進む巨大カモメの姿は、勇敢で、美しくて、何故だか少し切ない。



怒るときは、素早く怒っておかないと、後で怒ったってもう遅いということをわたしは知っている。
言うべきことを言えずに、その場をやりすごしてしまうと、猛烈に後悔することになる。

だけどそのとき、自分がどれだけ怒っているか、後になるまで気付かなかった。



反対に、飛行機が落ちていくときはね、疲れがピークに達して何も考えていられない。

でも何故か、脚だけは動き続けているんだ。
それはもう、僕の意志というより、脚の意志なんだ。
脚が、漕ぐのをやめないんだ。



鳥人間コンテストっていう競技はね、どれだけ上手く飛んでも、どれだけの距離を飛んでも、必ず最後は落ちるんだよ。
最後は必ず墜落するって、わかっている競技なんだ。



部室棟はもう目の前に見えていて、様々な青春へと繋がる扉が並んでいた。
がちゃがちゃとスパイクの音を鳴らしながら、目の前を野球部員が通り過ぎていった。