主人公の妹(ユリコ)と高校の同級生(和恵)が殺害され、その犯人としてチャンという中国人が逮捕される。
ユリコは少女期には絶世の美貌を持ちながら殺された時には立ちんぼの娼婦へと身を落としていた。
和恵もまた、大企業の役職持ちという立場にありながら夜は立ちんぼの娼婦という二重生活を行っていた。
ユリコと和恵は、何故殺されるに至ったのか、何故娼婦になるに至ったのか。
そのような内容です。
ミステリーとして読みましたが、ヒューマンドラマ的な内容でした。
ミステリーとは、言うまでもなく「謎」であり、その謎は多くは、「Who done it」(誰が犯ったのか)や「How done it」(どのように犯ったのか)です。
この小説は、あまり謎として問われることがない「Why done it」(なぜやったのか、動機)に主眼が置かれており、しかもどちらかというと被害者がなぜ殺されたのかということを「謎」としています。
主人公(わたし)の語り、ユリコの日記、チャンの上申書、和恵の日記という主に4者の視点から物語が語られます。それぞれの語り手の話は、見栄、美化、嫉妬、妄想、転嫁、様々な思惑から真偽交えたものとなっており、その解釈判断は読者に委ねられていると言えます。
描写が非常に細かく、女社会のドロドロとした人間関係、じわじわと人がアリジゴクに落ちるような様が描かれています。
この小説のモデルとなった東電OL事件は、被告人が再審により無罪となり、犯人不明の未解決事件となりました。
それを考えると、この小説においても、チャンが本当に犯人であったのか、ユリコや和恵が殺された理由はこの小説で語られている通りなのか再考してみる面白さもあるかもしれません。



