グルージャ盛岡vs三洋電機洲本:観戦レポート | ここからJリーグ

グルージャ盛岡vs三洋電機洲本:観戦レポート

舞台ハトトノッタ!!!


地域リーグ決勝大会3日目第2試合。長く短い3連戦は最後の試合を迎えた。対峙するのは東北代表のグルージャ盛岡と関西代表の三洋電機洲本。第1試合で
札大GPが敗れたため、一次ラウンド突破はこの2チームに絞られた。

本大会はワイルドカードが存在するが、藤枝会場に限っては四つ巴状態になっているため、望みが薄い。ないものと考えて問題ないだろう。よって、考慮すべきは1位通過のみだった。

追いかける形となるグルージャ盛岡は3点差以上の勝利で一次ラウンド突破が決定(※1)。それ以外で三洋電機洲本の一次ラウンド突破が決定。非常にシンプルな条件の元で試合が行われた。
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(※1)盛岡が5得点以上なら2点差勝利でも一次ラウンド突破

守備に専念した三洋電機洲本


試合を迎えるにあたっての注目は三洋電機洲本がどのような戦い方をしてくるのかだ。普通に勝ちにくるのか、あるいは3点差を守りにくるのか。三洋電機洲本は最初から守りに入っていた。

三洋電機洲本はゴール前に人数をかけてグルージャ盛岡の猛攻を受け続ける。サイドを手薄にした分、クロスをよく上げられたが、それは承知の上ではね返し続けた。

立ちはだかるGK浅野裕也


18分、グルージャ盛岡は右サイドのクロスから折り返しをペナルティエリア内でボールを受けた5中田洋介がDFを背負いながら反転してシュートを放つ。放たれたシュートはゴール右隅を完全に捉えていた。入ったと思われたシュートはGK浅野裕也がライン際で横っ飛びのキャッチ。三洋電機洲本は難を逃れた。
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序盤は決定的なチャンスを作り続けていたグルージャ盛岡。しかしゴールに立ちはだかるGK浅野裕也にことごとく防がれる。非常に厄介な相手だ。

状況を変えた退場


なかなかスコアが動かない試合に転機が訪れた。26分、中央突破を試みたグルージャ盛岡の13加藤浩史を角村大輔がペナルティエリア直前で倒してしまう。角村に提示されたのは赤いカード。決定機阻止と危険なファウルを総合した判定だった。
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三洋電機洲本のフィールドプレイヤーが一人減った。これでグルージャ盛岡に追い風が吹いたと思われたが、実際は違った。角村の退場により、三洋電機洲本は攻撃を完全に放棄して守備に専念。フォーメーションを4ー4ー1とした三洋電機洲本の守備は更に強固となった。

ホームの雰囲気を作った盛岡、PKで先制


スコアレスのまま前半を終了し、後半に入っても状況は変わらない。気がつけば大人しく座っていたメインスタンドのサポーターも立ち上がって応援。駆けつけていた多くの盛岡サポーターにより、会場の雰囲気はホームの様な一体感を帯びていた。

そしてついにスコアが動く。後半29分、11白澤実がペナルティエリアを深くえぐり、後方にいた9佐藤佳成にボールを預ける。佐藤が上げたクロスは三洋電機洲本の選手の手に当たり、ハンドの判定を得た。そしてグルージャ盛岡にPKが与えられた。
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千載一遇のチャンスでキッカーは13加藤浩史。加藤はこのチャンスを確実にものにして、ついに均衡を破った。
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徹底して跳ね返す三洋電機洲本


グルージャ盛岡が一次ラウンドに進出する為にはあと2点が必要となる。変わらず攻め続けるグルージャ盛岡、とにかくはね返し続ける三洋電機洲本。三洋電機洲本はもはや、ボールを外に飛ばすだけの機械のようだった。


待ち焦がれた2点目が入ったのは後半39分。グルージャ盛岡は11白澤実が右サイド後方から送り込んだボールは左サイドの9佐藤佳成が頭で折り返す。折り返された先にいたのは13加藤浩史。加藤はDF2のマークに合いながら振り切ってシュートを放つ。至近距離で放たれたシュートはさすがのGK浅野裕也も反応出来ず。希望をつなぐ2点目が入った。あと1点。
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悲しい、悲しい、勝ち点3


グルージャ盛岡の猛攻は実らなかった。90分間攻め続けて奪った得点は2得点。3得点勝利が1位への絶対条件だったため、グルージャ盛岡は1得点に泣いた。

三洋電機洲本とグルージャ盛岡の成績は勝ち点5、得失点差+1。違ったのは得点。三洋電機洲本が3試合で6得点だったのに対してグルージャ盛岡は3得点。三洋電機洲本が2戦目の藤枝MYFC戦に重ねた5得点力が大きく影響した。

敗退したグルージャ盛岡に対して誰も、何も責めることは出来ない。全力を尽くした藤枝MYFC戦、完璧に攻略された札大GP戦、攻め続けた三洋電機洲本戦。全てが全力で、落ち度があるとしても、全ての局面で相手が良かったとしか言いようがない。また長い1年が始まる。来年はさらに強くなったグルージャ盛岡を見られるよう祈っている。
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藤枝で起こした激震!淡路島からJFLへあと一歩


三洋電機洲本は地域決勝2年目にして一次ラウンド突破。GK浅野裕也を中心とした粘り強い守備と、最後まで試合を諦めない精神力、破壊力のあるカウンターで驚かせてくれた。関西リーグ終盤の不調、全社での6失点敗退は何だったのか。寝たふりにしても程がある。市原臨海では旋風を起こした三洋電機洲本が決勝ラウンドも躍進できるよう見守りたい。
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