第5648号 お宝買い取ります | ここばな【やまちゃんのここだけの話】

第5648号 お宝買い取ります

 

 町のところどころや、スーパーの一角に臨時で出店する、「お家の蔵に眠っている『お宝』を買う」という骨とう買取り屋。

 

 店舗前や新聞チラシなどには、宝石や洋酒、カメラ、・・・古いものを写真で載せ、買取価格も表示。

 

 その値段たるや、80万とか100万とか・・・中には100数十万とか・・・ー

 

 新聞記者になりたての時、仕事用に自前で買ったカメラが『ASAHI PENTAX』(アサヒ・ペンタックス)=写真は、レンズを外したボディー=。

 

 もちろん、フィルムカメラ。ほかにも2台買った。それからデジカメが登場した。

 

 フイルムカメラは戸棚の奥にしまい込んだままになっていたが、いつも行くスーパーの出入口の一角で買取り屋が出店していた。

 

 「モノによってはお高く買い取りますよ」と男性。自宅に戻って、骨とう品のカメラ3台を持って行った。

 

 ついでに持って行った2台を見るなり、男性は即、「50円」、と。「ン?、50円?」と僕。

 

 肝心なのは、かつてデジカメに買い替えた時にカメラ店のオヤジが「欲しい」と言っていた冒頭の写真の『ペンタックス』。

 

 男性は、「こんなのいっぱい見た。ボディーが黒なら値段がつくけどね。ウチに飾っといたら・・・」とつれない。

 

 値段をつけようとしない。「あんた、本当に鑑定眼はあるのかなア~」と失礼な僕。

 

 「6年やっている」と男性。「たった6年か」とあくまでも失礼な僕。・・・結局は、3台とも「お持ち帰り」となった。

 

 ー宣伝文句のように、いちいち何十万・・・と値段をつけていたら商売にならない。そんな値をつける文字通りの『お宝』は万にいや、何十万に一つあるかないかだろうなー

 

 ーー世の中、甘くない・・・身に染みたーー