公務員人件費ゼロでも財政赤字なくせない | すくらむ

すくらむ

国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 政府が狙う国家公務員給与10%カットで、625万人の生活が壊され、GDPはマイナス3兆円、税収もマイナス5千億円となり、財政赤字はさらに悪化し、震災復興にもマイナスとなることを指摘してきました。(→625万人の「国民生活を第一」に破壊する国家公務員給与10%カット-人間と経済つぶす悪循環


 それでもなおかつ目先の数字だけを見て、財政赤字を解消していくためには、国家公務員給与カットが必要だと主張する方がいます。そもそも公務員人件費をカットすれば、目先の数字の上でも財政赤字は解消できるのでしょうか?


すくらむ-01



 上のグラフは、これまでに何度か紹介してきた、日本の公務員人件費が先進主要国の中で最も少ないことを示すものです。


 そして、下のグラフは、財政赤字を分母、公務員人件費を分子にした財政赤字に対する公務員人件費の割合です。(※財政赤字は財務省が公表している2010年12月時点の対GDP比で、公務員人件費は財務省が公表している2009年の対GDP比で、いずれも最新の数字です。→※〈データ出所〉財務省「財政関係基礎データ〈平成23年4月〉」


    ▼財政赤字に対する公務員人件費の割合

すくらむ-31-1


 上のグラフを見て分かるように、財政赤字に対する公務員人件費の割合は、日本は3%しかありません。究極の公務員バッシングに、「公務員はすべてボランティアにして財政赤字を無くせ」などという暴論がありますが、かりに日本において公務員人件費をゼロにして単純計算したとしても、財政赤字をゼロにするには33年間も必要になります。当然、公務員人件費には、警察・消防・自衛官等の人件費も含まれています。(フランスやイギリス、アメリカは、10年あれば財政赤字はゼロになりますが)


 また、今回政府が狙う国家公務員給与10%カットが地方公務員など全体の公務員人件費に及んで10%カットが継続されたとしても財政赤字をゼロにするには333年間も必要です。


 そもそも日本の財政赤字の原因は、公務員人件費ではありません。もしOECD23カ国の中で最も少ない公務員人件費が財政赤字の原因ならば、日本より公務員人件費が多いOECD22カ国は日本以上の財政赤字になっていなければ理屈に合いません。北欧諸国やフランスなど日本の公務員人件費の2倍以上もある国は、日本の財政赤字の2倍以上になっていなければならないはずです。


 財政赤字の原因ではない公務員人件費を削減しても、財政赤字は解消されません。公務員人件費の削減は、財政赤字解消に向かうどころか、病気の原因でもないところにメスを入れるようなもので、日本経済の体力を一層削ぐだけです。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)