【再雇用時の年金】在職老齢年金と支給停止 | 行政書士&1級FP技能士 宮木のブログ

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皆さまは「在職老齢年金」という言葉をご存知でしょうか?

 

先日お客様とお話をしていたら、『知り合いが定年退職を迎えるが、年金はいつから受け取った方か良い?』とご質問をいただき、まさにこの在職老齢年金に関わる話題だったのでご紹介します。

 

 

 在職老齢年金とは?

 

 

在職老齢年金とは、年金の受給対象となった60歳以上の方が、会社などで働いて賃金をもらいながら受け取れる老齢厚生年金のことです。※ちなみに厚生年金に加入していない方(個人事業主など)は対象外のお話です。

 

在職老齢年金は上記のとおり働きながら受け取れる(老齢厚生)年金のことですが、実は賃金が一定額を超えると「年金の一部または全部が支給停止される」というルールがあります。

 

基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円を超える場合です。50万円を超えている期間は年金の一部または全部が支給停止されます。

※物価上昇率などが考慮され毎年変動します。2024年6月より50万円に改定されます(2022年度47万円→2023年度48万円)

※基本月額は毎月の老齢厚生年金の額

 

 

年金額は年金定期便などでおおよその目安はわかると思います。

 

総報酬月額相当額については、年金受給開始後に受け取るボーナス込み賃金の月額平均(だいたい年収見込みを12か月で割ったもの)を指します。

そうすると厚生年金の基本月額が20万円、賃金(総報酬月額相当額)が30万円の場合は・・・

 

 

(基本月額)20万円 + (総報酬月額相当額)30万円=50万円

 

 

となり、50万円以内になるため年金は支給停止されずに全額が支払われます。

 

 

 支給停止になるケース

 

上記の例で賃金が40万円だった場合を見てみましょう。

 

(基本月額)20万円 + (総報酬月額相当額)40万円=60万円

 

支給停止基準の50万円を10万円上回っていますね。そうすると上回っている部分の1/2に当たる額は厚生年金から支給停止されます。

 

つまり上記の例だと ((基本月額)20万円ー(支給停止部分)5万円)となり、支給される年金が15万円に調整されます。

 

 

 

 多くの場合は気にしなくてよい

 

結局のところ年金の支給停止は個人の厚生年金額と再雇用後の賃金によって条件は変わってきます。

 

多くの方は再雇用で月額賃金は大幅に下がります。多くは定年退職時の50%から70%と言われています。

 

一方で厚生年金の支給額を見てみると…

 

厚生年金平均支給額(男性)16万3,875円

《厚生労働省:令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況》

 

お気づきのように、一般のサラリーマンが年金を受け取りながら再雇用された場合でも多くの場合は支給停止ラインの50万円を超えるケースは少ないと思います。

 

また、厚生年金の被保険者として厚生年金保険料を払い続けることによって、翌年以降の年金額が生涯にわたって増加するというメリットもあります。

 

人生100年時代に資産寿命を延ばす基本は「収入を増やす」「支出をコントロールする」「運用する」の3つです。

 

これまで支払ってきた年金保険料の分をしっかりと享受しつつ、元気で働けるうちはなるべく働き社会に貢献し続ける。

 

そして70歳・75歳以降の次の老後に備える、というのがこれからの必要な姿ではないでしょうか?