kokichiwaのブログ

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読書感想文が大嫌いだった10年前の僕が、書評をはじめてみることにした。

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今年の桜は残念なものになった。

桜の開花を楽しみにしていた人たちの思いをかき消すように、豪雨が花びらを散らした。

桜が終わると次はGWか。
儚い春の残り香と新緑の芽吹きが次の楽しみを連想させる。

まだ肌寒い夜に1人。

僕は深夜のコンビニにいた。
入店しても店員は表れない。
きっと奥の休憩室で仮眠をとっているのだろう。
深夜のコンビニ店員は、今流行りの経費削減に反した古い慣習だ。
だがそれも許せてしまう。
そのぐらいのゆるさは必要なことだ。
余裕のない社会のどこに面白みを見出せるだろうか。

僕は誰もいない他人の部屋で、
好きなものを手にとって、つぶれないように丁寧にカゴにおさめていく。
やがてカゴにいっぱい詰め込んで、それからいらないものをひとつひとつ元の棚に戻していく。

他の人が見たらさぞ奇妙な光景だろう。

ここは僕だけの空間なんだ。
開放的な空想を展開させてみる。
このいつかきれるであろう、白い蛍光灯も。今は補充されてない肉まんやあんまんも。

そのままの状態でずっと。

ふと外に目をやると、真っ暗で何も見えなくなっていた。
店内が明るすぎるのだろうか。
外は暗く暗く暗く。井戸を覗き込んだように静かなさざめく暗さ、そしてその奥には漆黒の世界。

光の檻のなかにいる僕は観察者に狙われてるのではないか。

一瞬にして、心を不安が支配する。
僕は完全に無防備だ。光には様々なものが集まってくる。光を求めるのもの。独占するもの。求める者を捕まえるもの。僕はそんな捕食者にとってはカゴのなかにいる格好の獲物。

その瞬間だった。

テローンテローン♫

世界が引き戻されていく。
海岸から落ちていく、耳鳴りがキーンとして渦巻く波に引き寄せられ引っ張られていく。それをはっきり自覚しながら何もあがらうことが出来ずに僕はそれを受け入れた。

2人目が入ってくると、入店音に少し遅れて気だるそうな店員が表れた。

だが、僕ら2人を確認してすぐに奥に戻る。
なにも買わずにいる客の連れ。
それは待ち合わせを意味しているからだった。

「監視カメラで覗かれてたのかな?」

第一声に意表をつかれた。
そのセリフとともに僕は先ほどの観察者は彼だったのかな。と…。

閉口していると。僕の目の前に表れた彼女がしびれをきらし僕の腕を引く。華奢にみえて力が強い。

「お待たせ。さ、帰りましょう」

「なにか買って帰ろう」

「あかんで、ようちゃんは無駄遣いするから」

見かけによらず、しっかりしる。
たまに、はめを外したくなる僕の悪癖を抑えてくれる。彼女は節制を苦にしない性分なのだ。

僕は反論できる箇所を探しながらも、いつも言い負かされるのがオチだと、結局諦めてしまうのだ。

彼女の名前は桜。
桜の木のように、日本の代表になれるように。強く、気高い花を咲かせて欲しいという想いが込められていた。
彼女はその名の通りの人なのだと僕は思っていた。

僕と彼女が出会ってちょうど半年が過ぎようとしていた。