俺だけレベルアップな件

 

 

 

【評価】89点
ストーリー:★★★★
キャラ:★★★★★
作画:★★★★★
おすすめ:★★★★

判定:良アニメ

 

【2クール目から一気に面白くなる】

1~2期を通算してのレビューですが、本作は2期(2クール目)以降から急激に面白さが加速し、文句の付けようがない良作になりました。

なので1期だけの評価をするならかなり落ちますし、今から視聴する人は序盤を耐える覚悟が必要かもしれません。

 

ターニングポイントとしては主人公が「ある能力」を習得するところからですね。

まあ、ネタバレ言っちゃうと「ネクロマンサー」です。

ただでさえ自身が無限に成長する上に、倒した敵を片っ端からテイムできる能力はまさにチート。

最初から無敵の主人公ではなく、人類最弱兵器と言われた序盤から徐々に強キャラへと駆け上がっていく過程がじっくり描かれ、最終的に笑っちゃうくらいチート性能になる本作は、「俺ツエ―系の完成形」と言っても過言でなく、そういったアニメが好きな人には何よりオススメしたい作品と言えます。

 

原作は韓国のウェブ小説およびウェブ漫画が発祥なので、アニメの企画製作は日本(アニプレックス)が担ったとはいえ、事実上は韓国産と言えるでしょう。

また、国内の放送・配信は主人公の名前が水篠旬で舞台は日本ですが、海外向けの配信では名前がソン・ジヌで舞台も韓国の設定になっています。

ストーリー展開は日本の既存作品から影響を受けている部分が多くあり、見方によっては「パクリ」とも捉えられますが、それは国産ラノベも全く同様なので一概に批判すべきことには当たらないでしょう。

批判することがあるとしたら日本を仮想敵国として描いた点にあるでしょうが、まぁ、そこはセンシティブな話題に当たりますので触れないことにします。

「反日」だろうが「親日」だろうが自分としてはどっちでも良いです。

 

多国向けアニメとして制作された弊害としては、作中に描写されるRPGゲームみたいなステータスウィンドウ&コマンドウィンドウの文字が英語表記なのですが、主に1期において翻訳字幕が表示されなかったので(円盤では修正されてる可能性あり)そこは非常に分かり辛く残念でした。

2期以降はその点は改善されていたので良かったのですが、なんで最初から字幕を付けなかったのかは大いに疑問に感じました。

普通の国産アニメと比較して違和感を感じたのは個人的にはそれくらいです。

 

アニメーションについては、特に戦闘シーンにおいて日本アニメの粋を極める素晴らしいクオリティと仕上がりでした。

昨今は「なんとなく映像は凄まじいけど何をやってるか分からない」ようなアクションが流行っていますけど、本作の戦闘は多人数戦も細かいところまでしっかり描写してたし、日本のアニメ会社ならではの丁寧な作画が印象的でした。

回を増すごとに強くなってることが明白に感じられる主人公の戦い方も分かりやすく描けていたと思います。

強くなればなるほどアゴがシュッとしていく件については、まぁ原作通りの再現なのでしょうが、SNSでも話題になっていましたしネタとしても最高でした。

 

各シナリオの構成パターンとして、主人公が1人で強敵と戦いつつダンジョンを攻略するレベル上げパートと、他のハンターと絡んで圧倒的強さを示す俺ツエ―パートに分けられてるように感じ、前者の方は多少中弛みを感じてしまったものの、カタルシスが解放される後者のシナリオでストレス解消出来る楽しさがありました。

特に、2期の最終章で描かれた架南島レイド編は、完全に『HUNTER×HUNTER』のキメラアント編のオマージュであり、ギリギリ訴えられたら負けるレベルかと感じましたが、めちゃくちゃ面白かったのでOKで~す!

 

さて、ストーリーは未完で終わってしまったけど続編が制作されるかどうかは微妙なところでしょうか。

きっと主人公のステータス自体はまだまだ成長するのでしょうが、現時点で全キャラを圧倒するくらいの実力を身に付けてしまったものだから、エンタメ的にこれ以上、俺ツエ―のカタルシスを表現するのは厳しいのではないでしょうか。

実際に原作でも虫編が最頂点ポイントというファンの声もあるし、満足度が高い現状の部分でアニメは締め括っても良い気がします。

純粋な国産作品ではないかもしれないけど、楽しいアニメを提供してくれたアニプレックスとA-1 Picturesに感謝いたします。