アストロノオト

 

【評価】79点
ストーリー:★★★
キャラ:★★★★
作画:★★★★
おすすめ:★★★

判定:並アニメ

 

【普通に面白かったがバズるはずもなく…

今期のオリジナルアニメ枠のひとつ。

オリアニというと昨今はアイドルやガールズバンドなど分かりやすいジャンルでない限りヒットは厳しい風潮がありますが、本作はレトロ感漂う人情ドラマで勝負していた珍しい作品でした。

まず言いたいのは、個人的にはとても楽しめたので「良い作品に出逢えたことを感謝したい」気持ちです。

次に言うのは「こんなの流行るわけないじゃん」という気持ちです。

2つの相反する気持ちが、レビューを書こうとしてる今も心中で闘っております。

 

数多くの話題作が1クール何本も放送される中、ライトなアニメファンがわざわざ本作を選んで視聴する…というのは実際のところ、かなりハードルが高いものがありました。

エプロンを着て昭和ヘアをした女性がセンターに立つこのキービジュアルを見て「間違いない!これは神アニメになる!」と直感する人はいたでしょうか?

自分はなるべく多くのアニメを見たいと思うタイプのアニメファンなので一応は第1話を見ましたけど、時間が無くて取捨選択しなければならないタイプのアニメファンが本作を優先する可能性は極めて低いと感じます。

 

おそらくは制作側もその現実は分かっていたのでしょう。

ホームページにも書かれてる『最終回で、全部いただきます』という本作のキャッチコピーは、なんとかこの作品を見てもらいたいという作り手の気持ちを表していたのではないかと、視聴を終えた今は捉えています。

なぜなら、最終回は別に何もなかったから(笑)です。

いや、特別悪い意味ではなく、本当にびっくりするほど綺麗に終わっていたので。

はっきり言ってしまうとキャッチコピーは嘘です!

大どんでん返しは何もありません!

 

ということで、今回の宣伝のやり方の賛否はそれぞれあると思うし、それが話題になることを踏まえての戦略だったのかもしれません。

そのような雑音を抜きに考えれば、内容的は今どきのアニメにはない楽しさや懐かしさすら感じるアルカイックな作品でした。

終始乱れなく丁寧に描かれた作画面も高評価に値します。

キャラクターについては、やや時代錯誤感があり、また天パ頭の主人公がムカつくこともあって、お話の半分くらいまで視聴が苦痛に感じたのが正直なところです。

にもかかわらず、キャラ評点を★4にしたのはなぜか…についてなんですが、サブヒロインの葵ちゃんというキャラの存在が大きかったからです。

7話くらいからブーストが掛かって、本作の視聴意欲が一気に上がったのは8~9割彼女のお陰です。

 

他の住人に遅れて登場した葵ちゃん。

ルックスは正ヒロインのミラよりずっと可愛いし、引っ込み思案なところも可愛いし、服装も可愛いし…

昔から主人公の天パを一途にずっと思い続けていた彼女ですが、あろうことかこの天パ、葵ちゃんのことを認知すらしていなかったクズっぷり…

葵ちゃんを利用してミラから天パを遠ざけようと画策したナオスケですが、結果的に葵ちゃんを余計傷つけてしまうことになり、あまりに不憫に思ったナオスケが当初なんとも思ってなかった葵に対して愛情を感じるようになっていく人間模様が大変良かったですね~。いや、人犬模様か?w

キャラクターに関してのMVPは完全に葵ちゃん&ナオスケでした。

中盤以降は2人の今後が気になってしまって、主人公とミラの方はあんま興味なかったかもです。

第11話の「大丈夫か葵ちゃん」(cv諏訪部)のシーンは不覚にも脳汁出ましたわ~

葵ちゃん、やっと報われて良かった…

 

最終回直前、Xの公式アカウントが「覇権を取りたかった…これは宣伝チームの力不足…応援していただいている皆様、誠に申し訳ございません。」という半ば自虐ポストを投稿したことが話題になりましたが、やはりこれもキャッチコピーと同様、少しでも視聴者から注目を得たい戦略の一環だったのでしょう。

残念ながら本作は、まとめサイトなどネット上で話題になることはない作品のひとつとなり、制作陣の努力空しく、最初から勝ち筋が見出せなかったことは否めません。

ですが、最後まで視聴した人は皆満足できる作品だったことも事実であり、そういう意味ではキャッチコピーも100%嘘ではないのかもしれません。「最終回(まで見てくれた視聴者の満足度を)いただきます」って…

声を大にして「これは良作!」と言いにくい作品だったことで、評価点は上記のようになりましたが、気持ち的には+5点するのも有りかと思っています。