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【ジャンプ黄金期の到来】

 

個人的この1作

 キン肉マン 

 

「ジャンプ黄金期の到来」その鐘を鳴らしたのは1983年のアニメ『キン肉マン』と『キャプテン翼』だ。

以降、各テレビ局は週刊少年ジャンプ連載中の人気作品をアニメ化するのに躍起になり、その流れは90年代後半まで続く。

 

東映動画がアニメ化した『キン肉マン』は、ギャグとプロレスバトルをミックスさせた作品で、多数の魅力的なキャラクター(=超人)が登場するのが特徴。

登場する超人たちをかたどった軟質塩化ビニール製ミニフィギュア、通称「キン消し(キン肉マン消しゴム)」は子供たちの間で大流行した。

ドンピシャ世代ではないとはいえ私も大量に集めました、キン消し!

ちなみに文房具の消しゴムの機能はなく、鉛筆で書いたものを消そうとしても汚れるだけなので注意~。

 

アニメと原作の違いは、低年齢層を意識して残虐描写を無くそうとしていた点。

例えば超人オリンピック編におけるラーメンマンvsブロッケンマンの試合は、原作ではラーメンマンの必殺キャメルクラッチによって、ブロッケンマンが真っ二つになって惨殺されるが、アニメだと真っ二つにはならない。

キャメルクラッチで折り曲げられたブロッケンマンの体を、麺棒で平たく伸ばしラーメンにして美味しく食べてしまうのであった…

って、原作よりアニメの方が残虐やんけ~!!

 

とは言え、基本的な内容は「超人オリンピック編」以降はほぼ原作に忠実で、アニメが原作に追いつきそうになったら放送を中断するほど。

ただ「夢の超人タッグ編」の放送が85年の年末に完結すると、さすがに原作の進行度との兼ね合いからアニメオリジナルストーリーに突入したが人気が急落し、アニメは一旦打ち切りとなった。

原作の次章となる「キン肉星王位争奪編」は91年にアニメ第2期として放送された。

 

そして2024年7月、35年の時を経て、アニメ第3期「完璧超人始祖編」が開始される。

2011年より「キン肉星王位争奪編」の正統続編として原作漫画が始まった新シリーズであるが、はっきり言ってこれがまた非常に面白いので、アニメも楽しみでならない。

新たな敵を前に立ち上がるのは、かつてキン肉マンら正義超人を苦しめた悪魔超人軍!

当時やられ役に過ぎなかった下っ端の悪魔超人たちが思わぬ奮戦を見せる姿には、かつての肉ファンは涙せずにはいられないだろう。

もちろんキン肉マンを知らない平成世代以降の男子諸君も是非、ご照覧いただきたいものである。

 

 

 

 

こんな作品もありました

 魔法の天使クリィミーマミ 

 

 装甲騎兵ボトムズ 

 

 聖戦士ダンバイン 

 

『クリィミーマミ』はスタジオぴえろ制作の新時代の魔法少女アニメ。

舞台が日本の芸能界ということで、現実とファンタジーの2面からストーリーが描かれ人気を博した。

「現実的な世界観を背景にして『本来の自分と魔法によって生み出された虚像の自分との間で揺れ動く主人公の心情と成長を描く』」という本作から始まったこのテーマは、今も魔法少女アニメの根幹となっている。

おそらく今視聴して面白いと感じられる作品ではないかもしれないが、現代魔法少女アニメの祖という知識くらいは持っていた方が良いだろう。

 

『ボトムズ』はサンライズ制作、高橋良輔プロデュースによるロボットアニメ。

作中のキャラが搭乗する兵器AT(アーマードトルーパー)は全長4メートルであり、「巨大ロボット」枠には含まれないかもしれない。

ガンダム等とは違いヒーローロボットはなく、ATは使い捨ての消耗兵器として扱われ、破壊されたら躊躇せず乗り捨てられることが作品の特徴。

主人公のキリコは冷静で無口という従来の主人公とは異なるタイプであるが、その心中には愛する女性や仲間を思う一面も持っていて、そのギャップゆえ高い人気を誇るキャラクターとなった。

リアリズムの追求とシリアスなトーンで独自の地位を獲得した本作は、リアルロボットアニメにおける「ひとつの完成形」を示している。

 

同じくサンライズ制作の『ダンバイン』は富野由悠季が監督を務めた作品。

ある意味で異世界転生(転移)系アニメの元祖とも呼べる作品だ。

現実世界から異世界「バイストン・ウェル」に転移した主人公ショウが「オーラバトラー」と呼ばれる機体に乗って戦場を駆ける。

当時はファンタジー世界という世界観が一般には浸透していなかったこと、昆虫をモチーフとした機体のデザインが子供たちに受け入れられなかったことなどが理由で、商業的には成功しなかった。

ただし後年、ロボットと異世界ファンタジーの融合を初めて試みた作品として評価が改められ、今も人気作として名高く、2024年にはサンライズが実験動画としてオープニング映像を現代技術で再制作した映像を公開した。