葬送のフリーレン

 

 

 

【評価】98点
ストーリー:★★★★★
キャラ:★★★★★
作画:★★★★★
おすすめ:★★★★★

判定:神アニメ

 

【これが現代アニメの最高到達点か

いや、文句の付けようがありませんでしたね。

小学館が排出した作品が、並み居る集英社の作品をなぎ倒して天下を取りました。

作風的にはどちらかといえば大人しめの雰囲気だったとは思うのですが、最後までストーリーや映像&演出すべて粗という粗が見当たらなかった点はガチのガチで強みでした。

全話通じて最高点で駆け抜けたアニメなんて初めてかもしれません。

 

まず、初回放送は金曜ロードショー枠を使う破格の扱いで「そんなの有りか」とただただ驚きましたけど、今にして思うと日テレの編成マンは英断でしたね。先見の明がありました。

私は原作の存在すら知らず、事前情報皆無で一挙4話分放送の初回を視聴しましたが、いやはや想像以上に心を揺さぶられて見入っちゃいましたね。

派手な展開やアクションがなかった点も大人向けファンタジーって感じがしてむしろ好きでした。

会話と映像美だけでここまで魅せることが出来るアニメなんてそうそうないですから。

 

そんなわけで序盤から個人的大注目作品になってはいたのですが、さすがに人によっては地味めと感じる視聴者も多かったようで、話題性もそこそこという感じでしたかね。

最近同じく初回一挙放送だった『推しの子』と比べれば、初回のインパクトという意味では少し弱めだった気がしなくもないです(そこが良かったんですが)。

一変したのは第8話くらい、ゴリゴリ戦闘シーンが増えてきて遂には第10話「自害しろ」シーンで最高潮を迎えました。

この辺りからはもう一切の苦言を受け付けない様相を呈したアニメになったのではないでしょうか。

何度も言うように大人しめで始まった序盤も自分的には好みだったのですが、そこに派手な戦闘アクションまで加えちゃったら、それはもうとんでもない作品になるに決まってるでしょ…って!

 

本作のテーマは、人間とは全く異なる時間の流れを生きるエルフのフリーレンが、短命の人間とどう向き合うのかにあります。

永劫の時を生きるフリーレンにとって人間の一生はほんの短い期間であり、それを真っ先に表現したのが本作冒頭のプロローグなのでした。

さっきまで一緒に旅をしていた勇者ヒンメルが、フリーレンからしたら少し目を離した隙に超ジジイになっていたと、そして死んでしまったと。人間の寿命の儚さにようやく気づき涙するフリーレン…というのが第1話でした。

そして、回が進むごとに株が上がっていったのが第1話で故人となったヒンメルで、以降繰り返し思い起こされる回想シーンの中で、実は外見だけでなく内面もイケメンだったこと、そして彼がフリーレンのことをどれだけ好きだったのかを視聴者は知ることになります。

「じゃ、またね」と言って去ったきり50年も戻ってこなかったフリーレン。死の直前まで再開を待っていたヒンメルの気持ちを考えると胸が締めつけられる思いがあります。

 

本編でフリーレンと共に旅することとなる、メインキャラのフェルン&シュタルクもこれ以上なく魅力的なキャラに仕上がりました。

フェルンは一見すると生真面目だけど、女の子っぽい一面があってすぐ怒ってふくれっ面になるのが可愛いらしいキャラでした。

あと、服装のせいか体形が横幅があるように錯覚し、またバカ食いしてるシーンが幾つかあったせいもあって、実はデ〇疑惑が視聴者の間で広まったのも楽しませてもらいましたね。フェルンデラックスとか呼んだりしてすみません。

シュタルクはひたすらイイ奴で男キャラなのに全く憎む部分のない愛されキャラ。

最初は見た目で『鬼滅の刃』でいう善逸ポジションかと思いましたが全然違いました。

フェルシュタのほほえましいやりとりは、今後も見守りたいところです。

もう付き合っちゃえよっ!!w

 

2クール目中盤からは「一級魔法使い試験編」に突入し、一気に登場人物が増えます。

これまでのフリーレン一行の、のんびりとした冒険が好きだったので少々戸惑いましたが、作品が更に一段上に行くための前向きなテコ入れと捉えることにしました。

実際、ユーベルなど単体で見て非常に魅力がある新キャラが何人も登場しましたし、ここで出会ったキャラがアニメ後のシナリオで大いに絡んでくることが予測され、続編も楽しみでなりません。

ただ、原作漫画に目を通すのは現時点で控えたいと思います。

これだけ人気作となったのだから近々続編制作の発表があるはずですし、どうせなら引き続き最高クオリティのアニメで最初の感動を味わいたいと思います。

あ…。これはあくまでアニメ特化型オタクの私感なので、もちろん原作読みたい人は読んで全然いいです。

 

長くなりましたのでここで総評。

最高の作品を最高のスタッフが映像化した最高のアニメ、つまり「現代アニメ作品の最高到達点」がこの葬送のフリーレンと言えるのではないでしょうか。

おおまかなストーリーは主人公一行の冒険というありきたりなものではありましたが、メインキャラの魅力や、シナリオに関連する勇者一行の過去回想、綿密に練り込まれた映像や音楽の演出etc…それらすべてが噛み合って内容に一層の重厚感を与えることに成功しておりました。

冒険ファンタジー作品はこの世に数多ありますが、本作と比較されてしまうのは酷かと思えるほどで、今後同等の作品が排出される可能性は極めて低いことでしょう。

長いアニオタ生活の中で本作に巡りあえたことを感謝するとともに、続編が視聴できることを人生の楽しみとしたいところであります。