16bitセンセーション ANOTHER LAYER

 

【評価】68点
ストーリー:★
キャラ:★★★
作画:★★
おすすめ:★★

判定:凡アニメ

 

【超期待していただけにガッカリ

同名の同人誌は存在するも、主人公や内容は全く違うのでほぼオリジナルアニメ。

当クール、スタートダッシュに成功した作品No.1は実はこれでした。

が、終わってみれば「一体なんだったのか」レベルで非常にガッカリしている。

正直言えばもっと低い評価点を付けたい気持ちもあるが、冷静に考えるとこれより悪いアニメは無数にあるし、一先ず「凡」という判定に落ち着かせたい。

が、第1話の時点では本当に凄そうなアニメが始まったと思ったので、その期待を裏切られたという意味では「糞」と言いたい気持ちはある。

 

まずは褒める。

主人公のコノハを演じた古賀葵さんは見事だった。

ウザくて可愛い、すなわち"うざかわ"をパーフェクトに演じきった。

何話だったか分からないが、90年代の登場人物に向けて「Vtuberの物まねしまーす!ほぇぇ、スパチャありがと~♪」のモノマネやったシーンはクソワロタ。

独り言がいつもキンキン五月蠅かったのも狙い通りで、なかなかインパクトのある主人公に仕上がっていた。

この声優さんは未だに『かぐや様は告らせたい』のイメージが大きく、その後も色々なキャラを演じたのに2022年は仕事が減ってどうかなと思ったけど、23年にプリキュアに抜擢されたのを境に最近また評価され始めてきたね。実力派を代表する声優さんのひとりだと思う。

 

次にシナリオについて。

第1話で1992年という懐かしい栄光の時代にタイムスリップ。

平成初期って個人的にロマンあふれる時代で、80年代だと古すぎて00年に近づいたらもはや最近。1992年の秋葉原というのは舞台にするには最高で最適な時代背景であると感じたものである。

てっきり1クール1992年を舞台に"お仕事アニメ"を展開していくのかと思ったが、残念なことに第2話でその時代は終了、現代に戻ってしまう。

その後、96年、99年と「おかわリープ」するものの、なんだかなーと…

どんどんどんどん思ってたのと違う方向に行くシナリオに感じてしまった。

 

終盤は期待したお仕事アニメはどこへやら、完全にSFになってしまい大失速。

そのSFも決してハイセンスなものではなく稚拙極まるヘンテコストーリー。

脚本は原作同人誌作家の方とアニメシリーズ構成の方、さらにはスタッフ全体で一生懸命練ったことだろうけど、おそらくは迷走を極めたことが推測される。

やっぱりオリジナルアニメを作る上では、実績のある一人の脚本家が、しっかりとしたものをデーンと書くのが一番いいが、今の時代は書ける人が本当にいないんだろうなぁと感じてしまった。

直近の秀作オリジナルアニメは王道ストーリーの『リコリス・リコイル』のみ。他のヒット作は原作付きのものばかりというのは、アニメ特化型オタクの自分としては非常に寂しい。


作画は3話あたりからガクッと質が落ちた。

コノハの軽装が横乳丸出しのドスケベノースリーブだったのは終始違和感があり、乳の大きさも作画リソース不足から安定しなくて気になった。

そもそもコノハは可愛い系のキャラデザなので、わざわざドスケベ衣装を着せる意味はなかったように感じる。

本作って今までずっとA-1ピクチャーズあたりが作ってるのかと思ってたら、制作会社はほとんど実績のないところだったようだ。

限られた予算でスタッフが頑張って作ったアニメだったのかもしれない。

 

はい、というわけで纏めると「思ってたのと違うアニメだった」の一言に尽きる。

とはいえ、大手が手掛けてるわけでもないアニメに筋違いな期待感を抱いてしまった自分が悪いのかもね。

最近オリアニ成分が足りてないから、こういうほぼ原作無しの作品に期待してしまうのよ。

「ゲーム会社で働く女の子が1992年にタイムスリップ」という設定だけは最高に素晴らしかったので、質の良いシナリオが伴っていればひょっとすると神アニメになっていた可能性もあった気がする。