ウマ娘 プリティーダービー(3期)
【評価】80点
ストーリー:★★★
キャラ:★★★
作画:★★★★★
おすすめ:★★★★
判定:良作
【高くなり過ぎたハードル】
大人気シリーズ第3期。皆さん、どうだったでしょうか?
全体を通して普通に良いアニメだったとは思います。
ですが、「普通」以上のものを求めた身としては、シナリオ面で少なからずの物足りなさは感じてしまいました。
まず、前回のトウカイテイオーを主人公としたシーズン2は、自分がこれまで見たアニメの中でも、最上位に位置付けたい神アニメでした。
史実に沿ったストーリーを展開する本作において、波乱万丈のサラブレッド人生を送ったトウカイテイオーという馬(ウマ娘)は主役として最適なキャラであり、また同時期に活躍した名馬たちも魅力的なライバルとして描かれ、全話を通して最高のシナリオに仕上がっておりました。
一方、今回シーズン3において主人公となるキタサンブラックはどうでしょう。
記憶に新しい最近の馬で、数々の実績を残したことは確かなのですが、順風満帆なサラブレッド人生すぎてドラマ性が薄いのではないか…という懸念は放送前から囁かれ、結果的にその悪い予感は一部当たってしまった感があります。
キタサンブラックの闘いには「ライバル」と「挫折」があまり無かったのです。
序盤こそ本アニメが初出となるドゥラメンテが壁として立ちはだかったものの、彼女は史実通り直ぐに故障して退場してしまうので、最大のライバルには成り得ず。
同期のサトノクラウン、シュヴァルグランとは何度も対戦するものの、キタサンブラックと比べると実力や戦績が格落ちし、むしろ彼女たちが強すぎるキタサンにどう挑むかが試されているように見えました。
となると親友のサトノダイヤモンドを、キタサンと並ぶW主人公にしてライバル関係を構築したいところですが、たしかに7~9話の3話を掛けて最大のライバルと言って差し支えないくらいのレースはしてくれましたが、そうは言っても2人は大の仲良しであり絶対に勝ちたい相手ではなく、好敵手対決というよりは親友対決に映りました。そもそも直接対決が2回しかないですし…
また、何度も骨折し、瀬戸際からの奇跡の復活劇を魅せたテイオーとちがって、キタサンは大きな故障もなく「うおお!」と特訓して「うおお!」と走ってG1を勝ち抜きます。
これで「助けてネイチャ先生~!」なんて言ってたらたしかに嫌味にも聞こえますねw
いつも一番人気で戦績も常に3着以内をキープ…
そんな順風満帆なウマ娘人生にドラマ性を含ませるため、終盤「ピークアウト(衰え)」という強引とも取れる設定が付加されました。
今作ではスピカの先輩ゴールドシップが体力の衰えを理由に引退(トゥインクルシリーズを)するお話が第3話にありましたが、ゴルシは良いんです。シーズン1の頃から、スペやテイオーより遥かに先輩学年として描かれてきたので。
余談ですけどゴルシは現実ではキタサンとも1度レースが被ってる最近の馬なので、キタサンを主役としたシーズン3でゴルシの引退を見せてくれたのは偶然でしょうけど見事なシナリオでした。
逆にウマ娘世界ではベテランでもないキタサンが周りに先駆けてピークアウトとはこれ如何に?って感じです。
史実でもキタサンブラックは大事をとって早めに種牝馬になっただけで衰えて引退したわけではないみたいですし。
単純にドラマ性を付与するためのご都合主義で付与されたピークアウト設定なんでしょうけど、結局ラストランも圧勝の1着で終わるので、はたして必要な設定だったのか最終回まで見ても疑問符が残りました。
そもそも"ウマ娘世界"に「衰え」は必要なんですかね?
だって、この世界って「サザエさん時空」でしょう。
ウマ娘もトレーナーも全然齢を取りませんし。
あと、トゥインクルシリーズと、それを引退したウマ娘が所属するドリームトロフィーリーグという設定もモヤっとしてて分かりません。
ドリームリーグに移籍すれば不老になるの?それとも実力主義じゃない八百長レースなの?詳しい人、教えてください。たぶん誰も分からないでしょうけどw
ややネガティブな長文になってしまいましたが、それでも評価は「良作」です。
とにかく2期が神作過ぎた反動、それにに尽きますね。トウカイテイオーを先にやったら他のどの馬をモデルにしてもシナリオで上回ることは出来ないでしょって。
それでも全4話でまとめられた『ROAD TO THE TOP』のように、やりようによってはまだまだ各ウマ娘みんなアニメーションで際立たせることが出来ますし、次回作の劇場版『ウマ娘 新時代の扉』も楽しみですねえ。
シーズン1~3で見せてきたチームスピカの物語は色々と限界が見えちゃったので、今までの世界観でのストーリーは今作でラストにするべきかとも思いますが、今後のウマ娘のアニメシリーズがどのような展望を目指していくのか目が離せません。