86―エイティシックス―

 

 

 

【評価】75点
ストーリー:★★★
キャラ:★★★★
作画:★★★★★
おすすめ:★★★★

判定:並アニメ

 

【中身以外の部分で著しく評価を落とす】

このアニメ。実際のところクソ面白い。

SF戦記物が好きでまだ未視聴の人は今から一気見すれば絶対楽しめると思う。

ただし、内容や演出がいかに良くても「いちアニメ好き」としては承知しかねる点があって、あまり高評価を付けたくない作品になってしまった。

すなわち「決められた放送枠内で終えられず、最終2話が長い間延期になってしまったこと」これはどう考えても批難されて然るべきで、どうしたって擁護できない。

 

当初は分割2クールアニメで、2021年春クールから前半を、秋から後半をオンエアする予定だったが、物語も佳境に入った12月終盤頃になったところで公式が「クオリティ向上のため翌年3月にオンエアを持ち越します♪楽しみにしていてください♪」とかほざいて一気にテンションが落ちた。

放送中から総集編が多いなとは感じており、あれは予定された総集編ではなく単にいわゆる「万策尽きた」状態だったのだろう。

満を持した最終回はなかなか綺麗な終わり方で、普通にオンエアされてたら「終わりよければ全て良し」的な印象を抱けたはずだが、さすがに3ヶ月も間をあけてしまったらそういうわけにはいくまい。

 

まぁ、制作部分の失態をネチネチ批難するのもアレなので、作品の感想もちょっと述べるとすると、前半クールと後半クールで内容がガラッと変わった印象が強いストーリーだった。

前半は大勢いた仲間たちが話数を追うごとに次々と戦死し、生き残ってる面子も訪れる自分の番を覚悟している悲壮な展開。最後に残った5人も死地に向かうことを余儀なくされ全滅という形のバッドエンド…かと思ったら奇跡的に他国に救出されて全員生存というところで後半がスタート。

5人にとって初めての平穏な暮らしが始まったものの、やはり自分たちは戦場でしか生きられないことを認識し、戦地に復帰することになったが、死線をくぐり続けた彼らにとってもはや普通の戦場など恐るるに足りず、前半クールのようにいつ誰が死ぬかのような空気は無くなった。

言う慣れれば、前半が「死に場所を求めた物語」だったのに対し後半は「生き様を探す物語」ってのがテーマだったんじゃないかなと。

 

あと劇中における大きなテーマにもなってる人種差別については、そっち系の話題に関心深い海外ファンからの評価を得られそうな感じだったのではないか。(国内では"亡国のアキト"のパクリという批判が目立ったが)白人、黒人、アジア人とせず、あえて架空の人種で描いたこともプラスに働いた。

86たちを非人間として前線で戦うことを強制するアルバ(白豚)の中で、差別を是としない本作のヒロイン、レーナことミリーゼ少佐。前半の共和国編は彼女の決意と苦悩が、86の悲壮な闘いと並行して作品の主題になっていたものの、ギアーテ連邦編以降はレーナの出番は激減。次に登場するのはいつかな〜と思ってたら結局最終盤まで…まぁでもシンとレーナが対面する最終話は誰もが待ち望んだような完璧な終わり方だったことは間違いない。結局このシーンを迎えるための全23話だったのだと思う。

 

個人的に不満だったことは、共和国がレギオンに滅ぼされる重要な場面が劇中でカットされてしまったこと。あれだけ異人種を差別してきた白豚がいざ報いを受けるシーンはきっとカタルシスを得れただろうに勿体ない。

そして国が滅亡に瀕しても徹底抗戦を続けたレーナちゃんの活躍、今後OVAで作ってもらえると嬉しいね。

ミニスカ太もも丸出しのエロ娘の戦場での立ち振舞いが如何ほどなのか確認したいw

てか、レーナの格好もそうだが、パイロットが機体内でヘルメットも付けずに戦ってるのは、リアリティの追求という意味では良くなかったわな。そら直ぐ死んでまうわと。

まー、前線に幼女が付いて来るようなラノベ作品にリアリティを求めるのは酷か。

 

以上。なんだかんだで相当面白かったSF戦記物だったとは思う。

作画も基本的にはハイクオリティ。

普通に放送してたら良アニメ判定にしていただろう。

ただただ、オンエアを落としてしまったこと、それだけが悔やまれる作品。

制作がすべて終わってから放送しろと毎度言ってるが、未だ期待作に限って納期ギリギリのスケジュールになのは嘆かわしい限り。

改めて提言したい。資金に余裕が出来てからアニメ作れや!と。