アクダマドライブ

 

 

 

【評価】91点
ストーリー:★★★★★
キャラ:★★★★
作画:★★★★★
おすすめ:★★★★

判定:神アニメ

 

【尖った部分が光った名作】

「どうなるか分からないストーリー展開に見入ってしまったこと」&「完全オリジナルアニメだったこと」の2つを考慮して神アニメ判定!

本作を評価するのは非常に迷った。

なにしろ荒削りで癖の強い作品だったから。

男女問わず好きな人は好きって感じのアニメだと思う。

たぶん海外ドラマが好きな人向けだったかもしれない。

 

世界観は非常に独自で、おそらくは相当未来の日本が舞台だったと思われるが、時代や場所がなんだったか等ははっきり言ってシナリオ上どうでもよいこと。

そもそもにして各キャラクターの名前が誰一人として不明というトンデモぶり。

そのような異色設定の作品は過去に存在しなかったのではないだろうか。

主人公たちは「詐欺師」「喧嘩屋」「ハッカー」「殺人鬼」etc…全員犯罪者。

通称「アクダマ」と呼ばれる凶悪なキャラたちが画面狭しと派手に暴れまわるクライムアクション。

 

正主人公(ヒロイン)ポジである詐欺師は、騒動に巻き込まれた一般人の女性だが、他のアクダマ達は正真正銘の悪人。

物語内でおそらくは善良であろう一般の警察官を殺しまくる場面もあり、若干の嫌悪感を抱きつつも、そこはもうそういう世界と割り切るしかない。警察内に処刑課などという精鋭部隊が存在しとるし。

アクダマたちはアニメ中盤前までは、共通の目的のために協力し合う姿勢を見せる。

その辺りまではコメディ要素も豊富でどちらかと言えば楽しいストーリーであり、アクダマ全員が魅力的なキャラクターに描かれていた。

ところが物語が終盤に近づくにつれ、シリアス要素が深まるとともに、アクダマの数人は悪人としての本性を表し始め、味方側と敵方に明確に分かれていく。その過程が非常に見所があった。

そんな中、大した悪党でもないのに偶然騒動に巻き込まれた「チンピラ」の立ち位置が視聴者にとって共感を持ちやすいキャラに仕立てられていて面白かった。

 

ストーリーの細かい感想を書くとネタバレになるので避けたいが、最終的に7人のアクダマたちは全員壮絶な生き様を魅せる。一般人の詐欺師やチンピラも含め。

「とりあえず見てない人は見てください。配信サイトに加入するなりビデオレンタルするなりして。」としか言えないわ。

そんなわけでオススメ度も高めかな。間違いなく合う合わないはあるだろうけど。

アクダマ以外のキャラクターでは、やっぱり超人たちと互角以上に渡り合った処刑課師匠(cv大塚明夫)も敵ながら格好良かった。

逆に処刑課ボス(cv榊原良子)はクソババア感が視聴者のヘイトを貯める憎らしいキャラに仕上がってた。ちょっと"PSYCHO-PASS"の局長とキャラが被ってたけど、いつも冷静な声の榊原さんが裏声で恫喝する珍しいシーンもあって良かったね。

 

本作のシナリオを原案したのはゲーム"ダンガンロンパ"のライターさんとのことで、たしかに独特な世界観や演出、細かい部分は気にすんな的なノリは同作に通ずるものがあった。

自分はゲームは楽しんでプレイしたが、アニメ"ダンガンロンパ"は割と残念な出来だった印象で、数年後制作された"ダンガンロンパ3"はアニメオリジナル作品として満を持して企画されたものの、評判は散々だったと記憶している。

ゲームとアニメの脚本作りの違いに失敗した形だったが、アクダマドライブはそのリベンジを達成した事に値する作品だったと思う。

こういうライターさんがアニメ業界に進出してくれるのは、オリジナルアニメ不作の時代に大変喜ばしいことだと思うので、また次回作にも期待して良いのだろうか?

 

長々と書いたわりには、ネタバレを避けたいがあまりやや抽象的なレビューになった感が否めない。とりあえず大変面白いアニメだったことが伝わってくれたら幸い。

主要キャラが悪人かつ全員固有名が無い、そんなオリジナリティあふれる設定に、海外ドラマばりに続きが見たくなるシナリオの中毒性、そしてスタイリッシュに動きまくるハイスピードアクション、これはもう名作判定して問題ないだろう。

色々と尖った作品ではあったが、そのほとんどが良い方向に尖ってた。

1クール限りでしっかりと結末まで描いてくれたことも最後に特筆してレビューを締めたい。