医療経営イニシアチブ第2回・最前線の話 | Science and Law in Society (SLS)~~中途半端も極めれば専門さ~~

医療経営イニシアチブ第2回・最前線の話

今回のテーマは『癌』

抗体医薬なんかの最前線の話を聞きつつ、日本の製薬や医療が今後どんな風に動いていくのかについて考える道具を与えてくれる授業でした。


最後に僕のとったノートの抜粋を載せるけれど(これは別に読まなくていいと思うけど)、

そのうちのいくつかを取り上げてみる。



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どうしてグローバルな企業が日本から撤退するようになったのか?

知っている人は知っていると思うけれども、日本から撤退する研究所って多い。

ファイザーだってそうだし、ノバルティスもそうなのかな?

あるグローバルファーマのCEOに最近就任した人がいわく

『本来なら薬学を専門としていない私が就任した理由。それは、日本で研究をしようというしがらみがないからだ。私の至上命題は日本からの研究撤退にある』


これを取り上げて日本の研究がやばいということはよく言われる。


それに対して、中外製薬の有沢さんは(たぶん代表?)

『たしかに、今は中国に進出する企業は多いですね。けれども、それってのは製薬うんぬんってよりもその国が経済的に右肩上がりなのかに左右されることが多いのではないでしょうか。日本だってファイザーとかが参入してきた時期はバブルを始めとして経済的に好調だったときのはず。』


この意見は個人的には新しいと思った。



ちなみに、医薬品関連でいうと中国や韓国で薬が作れるとは僕には到底思えない。

というのも、僕が学部時代に出た北里・ハーバードシンポジウムやその他DIAなどの学会では

中国や韓国の製薬の偉い人たちは

『まだまだ日本には及ばない』

とはっきり言っていたのだ。それに、審査体制も遅れていると言われる日本よりもはるかに小規模なものであることにびっくりした。

(かといって、将来抜かれないかどうかは別問題だろうけど)


まとめてしまうと、たしかに日本で薬が作れなくなってしまうことは問題だろうけど、その危うさとグローバルファーマの撤退を安易に関連づけるべきではないのかなと思いました。



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続きまして癌治療。


癌治療って高いんですよね。

今では抗体医薬とか分子標的薬ができて治療の選択肢が増えたとはいえ、

実はこれって完治させるものではないって知ってるでしょうか?



この完治させるものではないけど、延命や痛みの緩和に良いってのが曲者なのです。


ごくごく簡単に言うと

この薬を使えばあと3か月延命できます。でもその間の薬代は数百万円です。


こんな感じ。

現に、薬が高いから治療続けないって人は結構いるみたいです。




もちろん、国民健康保険は適用されるでしょう(今されてないものもあるけど)。

でも、それを国が全部負担する?

そうすると医療保険制度の財源は??消費税30%ですか?

なんて議論になるわけです。



良い薬ができる反面、実はその分コストが高くなってしまう。そんな状況に陥りつつあるのが癌治療なのです。



アメリカ型の金持ちしか受けられない医療になるのか、

それとも日本のような保険制度を保つのか、

最後に今回の演者の藤原先生はこう言いました。



『僕はお金がない人間です。ですから貧富の差が拡大する医療には反対です。消費税が上がる?OKです。払います。他にも税金?もちろん払います。払いますから混合診療などは反対です』



とても明確な意見で、熱かったです。

藤原先生のように最先端で癌治療をしながら、こういった問題に取り組む医者が言うとメッセージの重さが違いますな。



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以下、簡単なメモ



医療経営学概論第二回『癌』

1限

分子細胞生物学の限界

→特定の細胞では効くけれどもそれが他の生物に応用されるかどうかとは別。

抗がん剤の問題

→高すぎる。これで治療は続けられないという場面で直面することがある。

それでいいのか?

→抗がん剤が100%効果があるなんてことはありえない。80%も効けばいい方であろう。また、鎮痛剤でも80%でいいくらいなのだから。

→サイエンスだから100%はありえないってことで許してくださいとのこと

Serendipity in Drug R&D

ドラッグディスカバリーはいかにアーリーステージでいいものを作り出すかが大事。

→どこに効くのかなどはわからない。今、眠り病・遺伝病に効果があるような薬が出てきているがそれは思わぬ効果から出てくるものであった。

GSK on Operation Excellence Program in its R&D

・成果は3年は問わない。強いところは本当に強くしようとする仕組み

日本はベンチャーの数はたくさんあるけれどもうまくいかないのはどうして??

・技術だけではベンチャーは作れない。技術だけではすぐに追いつかれてしまう。売るプロダクトをつくらずにベンチャーを立ちあげてしまったのが日本のそもそもの失敗だったのではないか。

・アカデミアの人はもう少し競合のことを考えるべき。アメリカには一時1300社くらいある。

ロシュグループではバイオマーカーが一番のプライオリティー。

→ハーセプチンは一番の成功例のように思える

萬有は筑波の研究所を閉鎖するという

今、グローバルで日本に研究所を持っているのは中外くらい。

日本で研究するしないのクライタリアはどこにあるか?

・大きな要因としては、その国の経済が上がっているか下がっているかは大きいと思われる。

ファイザーだってノバルティスだって中国には作っている。日本だって経済的に右肩上がりのときに研究所が作られたのではないか?

ヘテロダイバーシティーの戦略において、グローバルに貢献するという考え方。

外資が入ってきたとしても、子会社が同じことをするのでは意味がない。だから撤退したのではないか?

2限(藤原先生)

がん治療のマニュアル。

せっかく戸籍があるのにベースラインリスクがわからない

→全員を追跡調査をすることができない。これが予防が遅れた原因ではないかと言われている。

先生自身の意見

→貧富の差を拡大すべきか、それとも消費税上がってもいい?

私はお金がないです。混合診療は反対です。だってお金がないから。お金がある人はいいですけど。消費税上がっても構いませんし、保険料も払います。