アマテルカミさまが、無事に岩室からお出ましくださったものの、それで、ソサノヲさまが、おとがめなしになるわけではありません。
ハナコさまのこともあり、もはや、死罪もまぬがれないと思われたときです。
セオリツ姫さまから、お手紙が届きました。
「ソサノヲの命をうばったとて、妹のハナコが浮かばれるわけではありません。ソサノヲには、生きて、罪をつぐなってほしゅうございます。こうなったのも、ソサノヲの命がやどったときに負った汚れによるものなのですから、ソサノヲに罪があるわけではないのです」
「ああ、セオリツ姫さまは、わかってくださっている。イサナミ母さまのお心をも」
ソサノヲさまは思い、セオリツ姫さまの深いご慈悲に涙を流されました。
セオリツ姫さまの、ご慈愛あふれるこのお申し出に、裁判をしていた朝廷の人たちも心を動かされました。
一番ほっとされたのは、もちろん、ソサノヲさまのお兄さま、アマテルカミさまです
その結果、ソサノヲさまの命は、助けられることになりました。ただ、そのかわり、アマカミ一族から追放され、下民(したたみ)として、さすらい人となることが決まったのです。
大きな体に青い衣を着て、すげ笠にみのをまとったソサノヲさまは、どこから見ても罪人でしかないのでした。
モチコ・ハヤコの女心に巻き込まれて、とうとう、無実の罪をきせられたソサノヲさま。
日本のイエスさまですね