4(木)市井の徒 | 月と日の門外

4(木)市井の徒

十五夜、晴れ。朝冷え込む。昼過ぎ、陽は射しているが矢張り空気冷たし。


半日の間に、3人の無頼を目撃し、甚だ不快。

一、初老の男、丹念に鼻の清掃を為し、ちり紙で拭いしのち、そのちり紙を列車座席背面部の冊子を入れる網へとねじ込む。そこがくずかごでないことは誰の目にも常識にも明らかなり。

ニ、三十過ぎの男、プラットフォームの黄色線を出て缶コーヒーを一口飲む。そこへ列車入場の放送あり、振り返り、売店横の壁際足元に缶を置く。元へなおり、列車にあおられた坊ちゃん刈りの前髪横髪をなでつけ、我先にと乗り込み着座。コーヒー缶が空でないのは、その扱う様子から見て明らかなり。

三、青年、自動二輪車の座席を持ち上げ、格納された荷物中から何かを探していた。探しながら、空になった薬のPTPシートを一枚二枚と、道端に落としていく。四~五枚落としても、目的の物はまだみつからぬらし。番町の声がするよなカラはじき。


鼻糞つきのちり紙を行人の目前にばら撒いたりするのは悪質、冊子網なら、鉄道会社の職員が片付けるはずだから、少しまし。

飲み残した缶を線路や歩廊に投げたりすれば、中身が散乱し不潔であり、他人の着物を汚す場合もあるから悪質、壁際に寝返り打たぬよう置いとけば、清掃担当者が片付けるだろうから、背中で聞いていても少しまし。

薬の飲み殻を生ゴミと一緒に捨てれば、分別を怠り悪質、道端に放棄するなら、近隣の心ある人が片付けるに違いないから、少しまし。


自分は面倒だからしないけど、誰かはやるだろうし、やればいいし、やらなきゃいけないし、やらせてやるんだし、ここへこうして放置しよう、という市井の徒に辟易。


さっきかんだ鼻紙と、プルトップを起こしただけの缶コーヒーと、商品から剥いたプラスチックや、ビニールの包装をひとやまにして手に乗せて、三人の男に手渡してやろう。

「これ、あなたに片付けさせてあげるから、しかるべき場所に捨ててくれたまえ。もし気に入ったら持ち帰ってくれても吝かでないよ。」