カッコーの巣の上で | 平凡な日々にもちょっと好感を持って

平凡な日々にもちょっと好感を持って

映画、本、旅、散歩....日々の隅っこに見つけたもの。

1976年公開/アメリカ/133分

監督:ミロシュ・フォアマン

出演:ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、ウィル・サンプソン ほか

 


Challenged Cinema Paradise-カッコーの巣の上で

 

 

服役中だったマクマーフィ(ジャック・ニコルソン)は、刑務所での労働を逃れるために精神疾患を装い、ある精神病院に送られた。

 

 

病棟は婦長のラチェッド(ルイーズ・フィッチャー)のコントロール下にあり、テレビすら思うように観ることができない。

 

束縛を嫌うマクマーフィは、レクリエーション活動で屋外に出た際に、病院のバスを奪い、入院患者たちを連れて街に繰り出し、巧みなウソで船を調達し、海の上で一時の自由を満喫する。

 

病院側は、こんなトラブルを繰り返すマクマーフィが、病気を装っているのか、本当に病んでいるのか、判断しかねていた。

 

しかし、「手に負えないから出すというのは無責任だ」という婦長の強い意向で、引き続き入院生活を送ることとなった。

 

その後も何かと婦長に逆らっていたマクマーフィだったが、ある日、まわりの患者の多くが任意入院で、本人が望めばいつでも自由に退院できるのに対し、強制入院の自分にはその自由がないことを知り、愕然とする。

 

 

こんなところにはもう居られないと悟ったマクマーフィは、病棟で親しくなったネイティブ・アメリカンの大男・チーフ(ウィル・サンプソン)に脱走話を持ちかける。

 

 

そしてクリスマスの夜、看守をだまして騒ぎを起こし、鍵を奪うことに成功するが・・・。

 

 

 

衝撃的な映画として有名なこの作品。

 

 

公立の精神病院を借りて、そこの入院患者まで出演しているということを後で知り、おどろきました。

 

「カッコーの巣」とは、英語で精神病院を指す俗語だそうです。

 

 

病棟を支配する婦長vs自由を求める主人公、といった印象が強く、映画を観ている間は、断然マクマーフィ側に感情移入してしまうのですが、現実に身の回りにこんな男がいたらどう思うだろうか。

 

 

暴行や淫行の前科があって、無茶でケンカっ早い・・・やっぱり「イカれたヤツ」のひとりと見なしてしまうんじゃないでしょうか。

 

そして、そんな「イカれたヤツ」は、刑務所か病院に閉じ込めておけ!という拒絶反応をする人も多いのではないかと思います。

 

患者をクスリ漬けにして、人権を無視したような外科治療で廃人同然にしておとなしくさせる・・・、その昔、そんな病院があったんでしょうが、「イカれたヤツ」を拒絶する人だらけの世の中は、病院以上に生きづらかったりする。

 

 

医療や福祉にうまく結びつかず、大きなトラブルを繰り返して家族や近所の人たちを疲弊させてしまうような方もいて、そういう方を受け入れることはなかなか難しいのは事実ですが、一方できちんと治療を続けて病状をコントロールしている方もいる。

 

 

十把ひとからげに論じようとすると、ショッキングで強い印象を残した事例などが目立つので、どうしても拒絶の方向に議論が傾いてしまい、ほんのちょっと手を差し伸べれば救われる人まで、社会と断絶された無為の世界に追い込むことになりかねない。

 

 

映画ファンなら必見とされる作品ですが、「あのいじわる婦長め!」という見方だけでなく、もっと悪質な無理解や拒絶が自分や周囲にないだろうかということに目を向けるきっかけになってほしいと感じています。


*** カッコーの巣の上で Trailer ****