公園の猫とおじさん | 黄啓傑ランド

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トランぺッター黄啓傑(コウケイケツ)のブログ。

Trumpeter Keiketsu Ko's blog

朝。ひいひい言いながら公園の遊具で懸垂をする私の足元に、すたすたと猫が寄って来た。

その茶トラは、私の足元の砂場におもむろに穴を掘り始めた。

なるべく静かに着地し、私はその動きを見守ることにした。

穴をこしらえた茶は、そこにしゃがみこみ、きばりだした。

初めて見る猫の生エチケットシーンである。

蝉の声もほとんど聞こえなくなった公園で、息を殺してその様子をみていると、猫も人間も、生命の営みはたいして変わらないものだな、とおもう。人間はいちいち穴を掘らなくていいから楽なものだ。

しかし、なんで私の見てる前でやるのだろう。変わった性癖の猫なのだろうか。なんだか可愛らしく思えてきた。

やがて完遂したらしく、その周りをくるりとまわり、確認し、匂いを嗅ぐ。これを3.4回繰り返す。

ふたたび元の位置に戻り、前足で砂を集め始めた。

おお、これがあの有名な猫の習性、後始末てやつか!と興奮気味に、さらに見守る私。

その小さなむくむくした前足で砂に爪痕を残しながら作った山は、ブツとはあさっての方向に出来た。

茶はのろのろとまた、自分の後ろにある砂を集めて山を作る。

出来上がった2つの山の谷間に、ブツ。

これはなんだろう、何がしたかったのだろう。なにを意味しているのだろう。

京都の石庭のようにも見えてきた。テーマは禅だろうか。
photo:01



見る側に深遠な疑問を抱かせる、そんな優れたアートのような茶の脱糞劇であった。

すたすたと去る茶に、ひゅーと口笛を吹いてみたら、心底驚いた顔をしてこちらを見て一瞬立ち止まり、せかせかと走り去った。私に気づいてなかったのだろうか。