この数年、
弟子やお手伝いの刀鍛冶さんの
大鎚での古式鍛錬をする機会が増えました。

20年前、
欅の丸太を基礎に埋めて
そこに鉄敷を据えたのですが、
流石の欅も腐ってきたのでしょう。
大鎚の衝撃で鉄床が地面に埋まりはじめ、
仕事がやりにくくなりました。

鉄敷は、横に置いてある水桶よりも
5〜10cmくらい
鉄敷の面が高いのが理想なのですが、
水桶より低くなって、
特に火造りの工程がやり辛くなりました。
平地を鍛とうと手鎚をやや斜め振るうと
水桶の縁を手鎚がかすめるのです。


*写真はテコ付けのときのものですが、鉄敷が低くなっているのわかりますかね…



そこで、
仲間の刀鍛冶さんと弟子とで鉄床を掘り出し、
基礎のやり直し工事をしました。



鉄敷を堀りだして、

チェーンブロックで引き上げてみると

欅の丸太は当時の3分の1ほどになっていました。


いやしかし…

20年前、

よくこんな工事をひとりでやったものだなと。

誰にも頼れず、

当時、私のように一般家庭から刀鍛冶になり、

独立資金を自分で調達して独立したという

良い前例が無い中で

少しでも早く開業するために

試行錯誤の連続だった。


もう一生、こんな大工事はしなくてもいいだろうと思っていたのに、

新しい段階へ進むためにまたあちこち、

改修作業をやらなくてはならない日が来るとは。



さて今回は
基礎にコンクリートも使い嵩上げしました。


養生などに時間がかかりましたが
もう古式鍛錬もできます。

まだやらなくてはならないことがありますが、
それは他の仕事を進めながら
手をつけていきます。




先日、

大分市に刀の納品に行ってきました。

駅に降り立つと

巨大なコケシが横たわっていました。


2015年、

大分県立美術館OPAMで開催された

「進撃の巨人WALL OITA」展

のときは駅ビルの屋上から

超大型巨人が頭を覗かせていましたな。


大分の人は巨きなものが好きなのですかね。


諫山創先生を生んだ大分県というのは

巨人が暮らしていてもおかしくないくらい

森が深く海が豊かなのかもしれませんな。



連日の鍛錬、造り込みで

羽口や火床の壁が傷んできたので

今日は卸鉄で

壁が壊れるまで操業しました。


鋼が生まれた音が

なんとも言えず良いですなあ…

明日4月10日より

高崎高島屋5階アートギャラリーにて師匠の一門展があり、

私 晶平も刀と短刀を賛助出品いたします。




庭の雪柳が真っ白に咲くと

春が来たなーと感じるのです。


寒い日が続いたせいか、

木瓜や桜も一緒に咲き始めてますね。


都内の桜は満開でした。

鍛刀場の周りは1週間くらい遅いので

これからかな。

花も見ないまま、

また季節が過ぎていきそうですが。