季節が合いませんが、早く春が来ることを願いつつ、「かたくりの花」です。

 カタクリについて広辞苑第五版です。
「ユリ科の多年草。山野に自生。早春に2葉を出す。葉は厚くて淡緑色、表面に紫斑がある。春早く、長い花柄を出し、紅紫色6弁の美花を開く。花被片は外曲反転し、下向きに咲く。地下茎は多肉・白色棍棒状で、澱粉を蓄える。カタコ。古名、かたかご。」


「古名、かたかご」とありましたが、万葉集に「かたかご」の和歌がありました。
「もののふの 八十娘子らが 汲みまがふ 寺井の上の かたかごの花」(巻19-4143)大伴家持の作だそうです。「もののふの 八十娘子ら」は、「もののふの」も「八十」も「たくさんの」の意味で、「たくさんの娘たち」の意となります。この時代、水汲みは娘たちの仕事だったようです。
 娘たちは、お寺の水汲み場に入れ替わり立ち替わりして水を汲んでいます。その華やかな様子に、水汲み場の上の「堅香子(かたかご)」の花も負けてはいないように華やかに咲き誇っているのです。それにしても、万葉集のこの時代、読み手も。また和歌を親しむ人たちも、心優しい人たちばかりのようで、いい時代ですね。

 カタクリの花は、わたしの大好きな花です。今から待ち焦がれています。