裏書きに、「昭和63年3月19日。民芸講演会・民芸展会場から。長橋阿久根氏の『かぶ』。」

 野菜の「かぶ」を「加冨」と書いています。縁起を担いで描いて下さったようです。さすが民芸協会です。描かれた「かぶ」もまるまると、葉もたくさんついた大きな「かぶ」です。「かぶ」のしっぽも、元気よく描かれています。ユーモアたっぷりです。父はこの色紙を大事にして、正月を迎える色紙として、しばらく飾っていました。

 正月用など、縁起のよい食べ物に、レンコン、タケノコ、黒豆、八つ頭、だいだいなどがあります。レンコンは穴がたくさんあることから「見通しがよい」こと、タケノコは「まっすぐ元気に過ごすことができるように」と、黒豆は「健康でマメに働くように」といわれています。
 縁起のよい植物には次のようなものが上げられています。「オモト」は「万年青」と書き、一年中青々として子孫繁栄を表しているそうです。「カネノナルキ」は名前の通りで、「ナンテン」は難を転ずるということで、幸運を招くということです。

 この「加冨」の色紙を飾っていれば、新しい年はよいことがたくさんある、幸せな年を迎えることが出来そうです。