「法華経」「身延山」などの銘が入っている色紙で、父の妹が嫁いだ寺院の方からいただいたものでしょう。

 父は長男で、下に5人の妹と3人の弟がいました。その末の妹Kが嫁いだのが日蓮宗の寺院でした。嫁ぐ前からしょっちゅう我が家に遊びに来ていましたから、我が家から嫁いりとなりました。 
 そんなこともあり、K叔母はそれからもよく我が家に顔を出しました。嫁入りしたお寺で仏事があると、そのお供え物やいただいたお菓子などをもってやってきて、お茶を飲んで話しをして帰りました。
 3人の子どもに恵まれ、一番下の子は男の子で、お寺の跡取りとしてとても喜ばれて育ちました。その跡継ぎの修行は大変なもので、何度も何度も身延山などに泊まりの修行に出かけるものでした。そして、修行を終えて跡継ぎの儀式が行われることになりました。親族を代表して父が呼ばれ、何度か行われたいくつかの儀式の後に、この色紙をいただいたようです。

 我が家は曹洞宗であり、母の実家は真宗でした。小さい時からお盆のお参りに、曹洞宗と真宗のお参りをしていました。もちろん、子どものことですからお参りの言葉も意味も分かりませんでした。
 今はほぼ毎日、頂いたお経の本を読んでお参りをしています。「心を仏道に専らにして 常に慈悲を行ず」。なかなかこのようには行きませんが。