昭和48年7月20日に、Y氏より父に贈られたと、色紙の裏書きにあります。父の友達でしょうか、色紙一杯にリンドウの花が咲き乱れています。野生のリンドウでしょうか。

 リンドウについて、「広辞苑第五版」に次のようにあります。
「リンドウ科の多年草。山野に自生し、古くから鑑賞。高さ30~60センチメートル。葉はササに似る。秋、紫色鐘形の花を開き蒴花(さくか)を結ぶ。広くはリンドウ属・ツルリンドウなどの総称で、近似種が多い。根は赤褐色で苦味甚だしく、生薬の竜胆(りゅうたん)とし、煎じて健胃剤。笹りんどう。(以下略)」
「牧野 新日本植物図鑑」のリンドウには、名の由来について「リンドウの名は竜胆に由来する。」とあります。リンドウは中国では生薬の健胃剤として用いられ、「竜胆(りゅうたん)」とよばれていたようです。その中国語の「竜胆」が日本に広まって「りんどう」と呼ばれるようになったようです。リンドウの高山帯の種類、オヤマリンドウは日本名は「御山竜胆」、小さなリンドウ「フデリンドウ」は「筆竜胆」、他に「春竜胆」「深山竜胆」などのようです。日本と中国の深い関係が植物の名前にも深く見られるのですね。

 近年、花卉栽培が盛んになり、リンドウも広く行われています。山間部などでもリンドウの畑がたくさんあり、紫色のリンドウが多く栽培されているのを見ることができます。本当に美しい紫です。