前回に引き続き奈良村正史氏の色紙です。これも父収蔵のものです。

 奈良村氏について、「齋藤茂吉文化賞受賞者一覧」に次のようにあります。

「明治33年生まれ。本県油絵界の先駆者として活躍し永年にわたり洋画界の発展に尽力しているほか、後継者の養成と本県画壇の振興発展に貢献している。
 椿貞雄に師事し、油絵の基本的な画法を修得、画風は堅実で現代人の模範となるものをもっている。
 本県における油絵界の草分けの人であり、長い画歴と画風を通して、郷土の後進に与えた影響は非常に大きいものがある。
 大正時代に小塚義一郎、為本自治雄、今泉篤男らと、美術グループ「毒地社」を結成し、これが県美展の原流となった。
 県美術連盟の発足当初より世話役として、後進の指導にあたり地方文化の向上に貢献した。」

 山形の美術界、文化の向上に貢献した方の色紙を二枚も鑑賞できることを有り難く思います。絵画のみならず、俳句や和歌、そして生きる指針ともなる言葉を想いを込めて書いた書など、色紙と短冊の世界はありがたいものです。