同じく父所蔵の色紙「あざみ」です。
 広辞苑第五版を見てみます。

「アザミ(薊) キク科アザミ属多年草の総称。日本に約60種。高さ0,5~2メートル。葉は大形で深い切れ込みがあり、とげが多く、花は頭花で、紅紫色。フジアザミ・モリアザミ・ハマアザミなどの根は食用とし、タイアザミ類の根は煎じて強壮薬・解薬・利尿薬とする。刺草(しそう)。」

 広辞苑には「約60種」とありましたが、「牧野 新日本植物図鑑」には19種のアザミが取り上げられていました。色紙に描かれたのは「ノアザミ」でしょうか、よく目にするアザミのようです。

 634の色紙「月山」のところで、月山登山のこと、月山が高山植物の宝庫であることを紹介しました。アザミの仲間ではウゴアザミ、ナンブアザミ、チョウカイアザミなどを見ることが出来ます。ウゴアザミは「羽後」とあるとおり秋田、岩手、山形に固有のアザミであり、ナンブアザミは「南部」とあるように岩手、秋田、山形などに、チョウカイアザミは「鳥海山」の名を冠するアザミです。 
 いずれも自分らしさをもったアザミです。羽後アザミは淡いピンクの花、ナンブアザミは赤紫の鮮やかな花、そして、チョウカイアザミは濃い紫の美しい花です。