裏書きに「横倉友次郎」とあります。

 横倉友次郎氏は、平成二年度第37回茂吉文化賞の受賞者となった方です。その紹介に次のようにあります。
「大正14年生まれ。昭和20年から鋳金の道に入り研鑚を重ね、金属のもつ材質特有の美しさを強調した新鮮な感覚と詩情のにじみ出る作品を造り、鋳金の分野に独自の作風を創りあげた。
 山形における鋳金工芸の中心的人物で、伝統工芸発展のためという強い信念のもと後進に惜しみ無く技術を伝え、優秀な鋳金作家が次々と誕生している。
 作家活動を始めたころから、県美術連盟の役員として県内美術作家のまとめ役となり長年尽力してきた。」

 山形を代表する鋳金作家で、父とも交友のあった方のようです。今龍山はほとんど雪も消え、木々の芽吹きが始まったようです。そんな様子をとらえた穏やかな、それでいて生き生きとした山々の姿です。鋭い鋳金の世界と対照的な、たっぷり溢れる春の水に喜ぶ木々の芽吹きの豊かさが伝わってきます。