沖縄のシーサーを題材にした土鈴、「シーサー鈴」です。沖縄は昔から焼き物が盛んなところです。琉球王国のころから朝鮮の陶工が渡来して多くの窯がつくられました。それは、沖縄の守り神であるシーサーをつくるためでもあります。沖縄には昔から守り神として建物毎に、そして家一軒一軒にというようにシーサーが必要になりました。昔は石づくりのシーサーだったのでしょうが、屋根の上に置くことから焼き物のシーサーが多くなったのでしょう。
 
ところで、シーサーはもともと「獅子」だったそうです。「シシ」が「シーサー」になったのでしょうか。家の屋根のシーサーは「家じし」というのだそうです。1軒に雄雌2つ飾るのがよいということです。雄のシーサーは口を開けていて、外から入ってくるものを退治するのだそうです。雌のほうは口を閉じていて幸せが逃げていかないということです。
 
写真は雌のシーサーだったようです。というよりも、土鈴のシーサーは口を閉じていなければなりません。口を大きく開けていては、空洞の中の粘土の玉が飛び出してしまいます。この土鈴のようにしっかり口を閉じていても、口の両脇や両目、2つの鼻の穴は中の空洞とつながっています。それほど迫力ある立体的な造りになっているのです。
 
昭和10年代、思想家の柳宗悦(やなぎむねよし)や陶芸家の濱田庄司(はまだしょうじ)ら民藝運動の人々が壺屋焼に出合い、本土へ広く紹介しました。現代まで続く「やちむん人気」の礎を築きました。現在は、民藝的な世界観だけにおさまらない作家や、数百年前の古陶に手本を求める職人も出てきているということです。
沖縄の焼き物、山原焼とメモがあります。沖縄でよく見かけるシーサーですが、つくる窯によっていろいろな形、色、表情、そしてもちろん音も異なります。それぞれの窯元で工夫してつくっているようです。横からの写真です。獅子ですから怖い顔とともに、見事なたてがみなどを見事に表現した土鈴です。
 
沖縄らしい落ち着いた深緑のつややかなシーサーです。顔は魔除けにぴったりの威厳のある眉と目、大きな鼻と口、そしてちらっとのぞく牙、頼もしいシーサーです。棕櫚縄の結び目がよくにあうシーサーです。よく響く沖縄のエイサーのように元気のよい音が聞こえます。