1月1日から毎日1回投稿中

   ~ 小説 ~

~【彼女との人生(53)
   総体出場決定戦② ~

(ネタの構成)
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10月13日投稿の続き

登場人物
俺(私)=鴻上慎也
かをり=宮園かをり
幼なじみ=椎名龍
同じクラス=野坂裕子
龍の幼馴染=藤宮香織
藤宮さん友人=山岸紗季

【登場人物】
7月1日に投稿しています。
詳細は、そちらに

(前回の終わり)
サーブが得意そうな印象を受けた
トスの結果でレシーブを選ぶ
テニスクラブの片隅から
かをりが見えた。
さあ試合が始まる。


【総体出場決定戦②】

ストローク練習をしながら感じた

ほとんどドライブが掛かってない

ボレーは、身体の近くが苦手かな

スマッシュは、安定していそうだ

そこまでの情報があれば

戦い方はある。


テニス部の審判の合図ではじまる

小杉隼人のフラットサーブが

センターライン付近に来るが

反応できる。

バックハンドはスライスボールで

隼人のバック側にレシーブする。

隼人がミスをするも、サーブが

フォルトの判定、セカンドサーブに

完全に入っていたと思うが

審判のミスか意図的かは問うまい

セカンドサーブは、スライスサーブ

打ちごろのボールをドライブで

エースをねらう。

ライン上を通過するもアウトの判定

完全にアウェーの環境にいることを

認識させられる。

慎重にコースを狙い完全にインと

言わせる戦い方を強いられる。

アドバンテージサイドのサーブを

バックハンドのスライスで

手前に返し、隼人を引き出す

そしてサイドのエースを狙わずに

ラケット目掛けてハードヒットする

ラケットをはじきポイントを奪う。

きわどいラインは狙わずに

ストロークの勝負に持ち込むと

隼人のミスでポイントを重ねて

ブレークする。

俺のサービスゲーム

隼人をコート外に追いやるように

大きく逃げていくスライスサーブを

打ち込むもアウトの判定

これも完全に入っている。

これもやはりと確かめ感じ(そうか)

スピン、スライスサーブを真ん中に

集めストローク戦に持ち込むか

どうでもいい。負ける気はしない。

テニスクラブでのレッスンでも

ミスは許されない

返しやすい場所を狙うコントロール

も要求される。

粘ること、ステップには問題ない

そのうちに相手の方がミスをする。

打ち合いは、長く続いていても

ポイントは、全て俺の方に入ってくる

ゲームポイント 4-0 を迎えたころに

戦意は消失していたようだ。

覇気もない、審判も悪意ある判定は

消えていた。

無駄であると悟ったのだろう。

残りは、ラブゲームであっさりと

奪うことができて試合も終える。

午前中の試合はこれで終わりだ。


クラブハウスに戻ろうとすると

木戸プロが、
「あからさまだったな」
「嫌われたもんだ」
笑いながら背中を叩き去る。

「次は、1時から開始な」
「その間に各自、食事をとって」
監督が言って、自分は車の方に


かをりは、公園のベンチに座ってた

料理教室を開いている母親の早希さん

に手伝ってもらった、お弁当

準備しながら待っていた。

「かをりちゃん」
手を振る三人の顔

バンドのメンバー香織、志織、紗季

である。

土曜日も図書館に集まっている。

「試合どうだった」

「勝ったよ」
「でも、何か嫌な感じ」
「審判が不利な判定ばっかり」

「テニス部か」
「一部で噂になってるからな」
「慎也が優遇されてるって」
「男の嫉妬ってやつ」
「厄介だな」

「でも、慎也なら問題ないだろ」

「そうだけどね」

「ああ、そうそう、飯の時間だろ」

「今日、弁当作ったって聞いたし」

「あんたのお母さんのからな」

「あたしらのもあるって」

「だから来たんだ、探したぜ」
にやりと笑った。


ジャージ姿の慎也が見える。

手を振り「こっちこっち」

と言うと気が付き駆けてくる。

「皆も来てたんだ」

「ああ、弁当食べに」
「午後はライブの計画するけどね」

「へえ、いつ頃?」

「高校総体あとで体育祭前かな」
「まあ夏までにはね、やるよ」

「慎也、試合大丈夫か」

「問題ないよ、勝つだけさ、既に
準備はできている」

そう言いながら、唐揚げを摘まむ

「皿、使えば」

「でも本当に美味しいよね」
「かをりちゃん作ったの」

「そうよ、でも味付けはお母さん」

今度は、ちょっと歪な卵焼きと

おにぎりを頬張っている。

おにぎりの具は、しゃけだった。

「クラブハウスの中で見れば」

慎也が私に向かって言ったが

わたしは顔を横に振った。

「因幡の応援してやれよ」
「1時から1コートで試合だし」
「審判は俺だしな」
「オーナーの小野さんと木戸プロ
知ってるでしょ、大丈夫だよ」

「じゃあ、朋子の試合だけ」

慎也は、お弁当の感想も言わずに

「それじゃあ、行ってくる」
「みんなも頑張れよ」
って走っていく。

「あたしたちも行くよ」
「片付けるよ」

「大丈夫、わたしやるから」

少しだけ寂しかったが、

意外と慎也は、恥ずかしがりやって

分かっているから嬉しくもある。


「かをりちゃん、来たね」
「応援かい」
木戸プロが近くに寄り話しかける。

「テニス部の因幡さんの応援に」
「友達なので」

「そう、慎也の応援じゃないんだ」

「慎也は大丈夫でしょ、木戸さん」

「まあな、対戦相手の実力じゃあ
慎也には勝てないね」
「実力の差は歴然だ」

わたしは、笑みがこぼれる。

「手前の子が因幡さんかい?」
「彼女も上手いね」
「この試合勝てば、大会いけるよ」
「このグループもったいないな」
「この二人が団体戦に向いてる
そんな気がするんだけどな」
「外野は黙っておくか、テニス部の
顧問が決めたことだからね」
「お、このポイントは大きいな」
「因幡さんは、サービスゲームを
落としたりしないだろうからね」
一方的に話す、木戸さん

「木戸君」

オーナーの小野さんが呼んでいる。

「じゃあね、かをりちゃん」

木戸さんが受付へと

ゲームカウント 3-1 朋子のサーブ

木戸さんが言った通り、順当に

ポイントを重ねていく。

互いにキープし合い 5-3 の

40-30 マッチポイントから

朋子のサービスエースで試合は

終わった。


朋子と慎也が、こちらに歩いてくる

「おめでとう、朋子」

「ありがとう、でも後ひとつ」

「大丈夫じゃないかな」
慎也が言う
「見た感じ、次の相手は・・・ね」
小さな声で周りに聞こえないように

「木戸さんも言ってた」

「でも、気持ちを切らさないように
しないとね、何があるかわかんないし」

「次は、俺だな」
「今度は、4番コートだから遠いな」

「大丈夫?」
朋子が、
「さっきの試合観てたけど」
「男子って意地汚いよね」

慎也が、落ち着き払った表情で

「ああ、審判は女子部員がするって」
「小野さんが、顧問に言ったって」
「見て見ぬふりは出来ないってさ」
「だから、思い切ってできるよ」

笑顔を向ける。


このあと

どうなるのか

つづく

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