3月25日、東京・用賀のバシレウスジムで

野杁正明選手が記者会見を行ないました。

 

日曜日に「ONE最強」タワンチャイと

ONEフェザー級キックボクシング

暫定世界王座決定戦で激突し、

「1:9で野杁不利」とまで言われた

下馬評を覆して見事な3RKO勝利を

収めて、悲願のONE世界王座を獲得。

 

その野杁選手がジムで

囲み取材を受けるという。

日本のような一夜明け会見がないから、

中1日で勝利の喜びを語るのかなと思い、行ってきました。

 

THE MATCH 2022での悔しい敗北後、

「負けて、取材を受けるって

なかなかないですね」と言いつつ、

「ゴング格闘技」のインタビュー取材を

受けてくれた野杁選手。


今回は「ONE最強」タワンチャイを

KOしての悲願のONE世界王座奪取ですから

これは祝福しに行かなくては、と。

 

 

会見で明かされたのは、

タワンチャイとの激闘の中でも、

「我慢比べなら僕の方が強い」

という強い気持ちを

持ち続けていたこと。

 

序盤で削り、3、4、5Rで

勝負という戦略を

強者相手に貫けたのは、

野杁選手の「家族のためにも絶対勝つ」

という強い思いがあったから、でした。

 

 

そして、話題が武尊選手に移った時、

野杁選手は目に涙を浮かべながら

語りました。

 

「武尊君に怒られるかもしれないけど」

と前置きして、

「試合の2週間前に胸骨とろっこつの

2箇所を骨折して万全じゃなかったです。でも試合を棄権することは

考えていなかった。

武尊君は、あんなもんじゃないです」

 

 

 

野杁選手の言葉を聞いて、

「なぜ?」と思っていた

幾つもの疑問が氷解しました。

 

そして、試合の10日前に、

「ゴング格闘技」の取材を

受けてくれた武尊選手が、

その時すでに怪我をしていたことを

初めて知りました。

 

そういえば。。。

 

 

 

格闘家は言い訳を嫌います。

まして、負けた後に

「実は怪我してました」は

絶対に言いたくない。


武尊選手ならば誰にも言わず、

墓場まで持っていったはずです。

 

ですが、同じチームバシレウスの

選手やスタッフは全員、武尊選手が

スパーリング中に怪我をし、

最後の2週間はほぼ練習も出来ないまま、

ロッタンとの決戦に臨んだことを

知っています。

 

武尊選手が試合後に怪我については

一切話さなかったために、

誰もそのことには触れられなかった。

 

一方で、武尊選手の動きの悪さや

打ち合いでやられてしまったことを見て、

「打たれ弱くなった。

ダメージが蓄積してる」等々、

SNSでは語られているわけです。

 

真実を知る野杁選手は「悔しかった」と

言います。

「武尊君の強さはあんなもんじゃない。

怪我をするまで調整も順調でいい仕上がりだった」と。

 

万全の状態で戦っていたら。。

この「たら、れば」も

格闘家は嫌います。

 

野杁選手は、武尊選手の心情を

十分に理解した上で、

怪我のことを明かしました。

 

チームバシレウスの

選手やスタッフの中で、

唯一、野杁選手だけが

真実を語れる立場にあったから。

 

野杁選手にとっても

苦しい選択だったと思います。

 

会見後、野杁選手に

「話してくれてありがとう」と

伝えました。

 

 

武尊選手には、

今は怪我の治療に専念して、

心身をゆっくりと休めて、

万全の状態になってから

今後のことを考えてほしいと思います。

 

野杁選手は言います。

「今回のONE172

(さいたまスーパーアリーナ)は、

武尊対ロッタンという

素晴らしいカードがあったから。


THE MATCH 2022(東京ドーム)だって、

武尊対天心があったから出来た。

僕は、武尊君のように

いろんなものを背負って

闘うことは出来ません」と。

 

その上で、

野杁選手はきっぱりと言います。

「僕は武尊君と二人で

ONEのベルトを巻きたい。

その想いは変わらないです」

 

会見後、武尊選手はSNSを更新。

 

 

「試合への準備を含めて、

全てが自分の実力。

快挙を成し遂げた試合後の正明に

こんなことを言わせてしまって

申し訳ない」

 

 

二人の思いに胸が熱くなりました。

 

格闘家は本当に素晴らしい。

 

格闘技は最高です!