●犬を連れた婦人について
レイチェルカーソンみたいに品のいいご婦人が白に黒のぶちぶち犬を連れてキャンパスを散歩していた。昔うちで飼っていた犬に比べるとずいぶんお金がかかってそうだ。
「うちは貧乏だから」という話をよくされていた。今では、それが実際とは違っていることがわかる。うちは近所の家よりも大きくて新しい住居を構えていたし、庭だって広く、車は二台あり、家族でイギリス旅行に行ったこともあるくらいだから、ちょっと考えれば中の上くらいの生活をしていることは分かりそうなものを、「うちは貧乏だから」という親の言葉を半ば真に受けて暮らしていたのだ。
少しお金があるからといって、物を粗末に扱ったり、お金を乱費しないようにという親の配慮があった。
贅沢な暮しをしているお坊ちゃんには育てたくないんだな、ということに気づいたのは意外と早かったと思う。けれど、日本の一般的な家庭と比べて自分の家がどうなのかということが分かり始めたのは、つい最近のことだ。
世の中には缶を拾うのが本職という女性がいる。それだけの仕事で一体どんな生活ができるのだろうと想像もつかないけれど、雨の日には休みになるし、缶の縁で切るから指は切り傷だらけだし、重いリヤカーを押して腰も痛いし、それでもろくに儲からないし、といった状況らしい。副業でテキヤをやったりして、暇な時には半身浴をし、体を休め、携帯をいじって知らない人と絡み合ったりする。
そんな生活ができるなら、もっと儲かる生活だってできるんじゃないか、と僕は思ったりするけれど、もしかしたら逆に、そんなに裕福な生活ができるなら、もっと時間を有効に使えよ、と言い返されるかもしれない。傍から見て口を出すのは簡単だけれど、自分から実行するのは難しい。
ちなみに、その女性の「知らない人」というのは僕のこと。互いに住む場所も本名も知らないまま、ネット上だけでグダグダと話した。
●「アパートの鍵貸します」について
アカデミー脚本賞をとった作品を観ていっている。大学の研究室は居心地のよい鑑賞スペース。研究費で使わせてもらっているパソコンで趣味の時間を費やす。悪い遊びというのはいつだって楽しいものである。
「アパートの鍵貸します」も、最初の面白さは「悪い遊び」が一人の男が住むアパートに収束してゆくところにあると思う。保険会社のお偉い方々が嫁に内緒で女遊びをするために、社員の男性のアパートに通い詰める。
大企業への風刺もあるだろうけれど、脚本家は前半のほうが楽しんで書いたんじゃないかと思う。脚本家こそ悪い野郎である。
●ADHDについて
現在、ADHDとアスペルガー症候群と自閉症についての本を読んでいる。自分にはそれぞれの症状があったなぁと思うけれど、どれと言い切れる程重度の症状ではなかった。でも幼いころは軽い病気だったんじゃないかと疑ってみる。この話はまた今度。