「特等添乗員αの難事件Ⅰ」 松岡圭祐著 感想 | 何事も楽しく、過ごしたい。

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「面白くて知恵がつく人の死なないミステリ」

新人ツアコンが水平思考で謎を解く! Qシリーズ姉妹編

掟破りの推理法で真相を解明する水平思考――ラテラル・シンキングに天性の才を発揮する浅倉絢奈、22歳。
新人ツアーコンダクターとして国内外を飛びまわる彼女は、旅先で発生するトラブルから難事件まで、
予想もつかない手段で瞬時に解決する。中卒だった彼女は如何にして閃きの小悪魔と化したのか? 
鑑定家の凜田莉子、『週刊角川』の小笠原らとともに挑む知の冒険、
ここに開幕。人との死なないミステリ最高峰、αシリーズ第1弾!


「万能鑑定士Qの事件簿」から、新たなヒロインが誕生した本シリーズ、
「特等添乗員αの難事件」のⅠである。

これも面白い。

松岡氏の小説のリーダビリティは、本書でも如何なく発揮されている。
新たなヒロインは、浅倉絢奈(あさくらあやな)。
松岡氏の生み出すヒロインは、イニシャルが同じである。
凜田莉子(りんだりこ)、岬美由紀(みさきみゆき)、里見沙希(さとみさき)もそうである。
なぜか、一ノ瀬恵梨香(いちのせえりか)だけ違うが...。

ラテラル・シンキングという聞きなれない言葉が登場する。
水平思考ともいうらしいが、通常の論理的に考えるのとは違うアプローチでの思考法だそうだ。
ロジカルシンキングと対をなす物事の考え方で、
物事を順序だてて、ひとつづつ正解を積み上げていくのがロジカルシンキング。
対するラテラルシンキングは前提や文脈にとらわれずに多様な視点から直感的に答えを導き出す。
常識や先入観、思い込みなどにとらわれて袋小路に陥った時などに役立つ考え方で、
また世間の常識の外にあるものと対決する時にも大いに役立ちそうです。

作中よりラテラルシンキングが試される簡単な問題をふたつご紹介。

1 ホールケーキにナイフを3回だけいれて8等分にする方法は?(22ページ)

2 映画「タイタニック」が公開された97年前後、
レオナルド・デカプリオさんはニューヨークの高級マンション12階に住んでいました。
デカプリオさんは出かけるときは1階までエレベーターを使いましたが、
帰宅するときは9回までエレベーターで昇り、あとは12階まで階段で上っていたそうです。その理由は?(58ページ)

これをみると一種のなぞなぞのようですね。
答えは、本書の中にあります。

特に、1の問題は最近テレビで見たばかり。
テレビのIQを調べるクイズ番組の中でこれと全く同じ問題が出ていた。
答えを聞いたとき、そんなのあり!!と思ったけど、それが凡人の発想なのか?

「万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ」で、ちらっと莉子たちを助けた浅倉絢奈がいかにラテラルシンキングを駆使して、
添乗員になっていくのか、また、絢奈が登場してから、
あっという間にいろいろな事件解決の糸口を示していく展開の早さ。なかなか読ませます。


そして、「万能鑑定士Qの事件簿」でおなじみの凜田莉子、小笠原悠斗、葉山警部補も登場。
ただ、本書での莉子は、絢奈を引き立たせる役のようで、ふつうの人に見えてしまうのが残念。

まあ、4月発売予定の「万能鑑定士Qの事件簿Ⅱ」に期待しましょう。
そして、「特等添乗員αの難事件Ⅱ」は、6月発売予定のようで、
これからはふたつのシリーズが交替して発売なのか。

なぜ、「特等添乗員α」なのかは、本書のラストでわかります。




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