(あらすじ)
南町奉行所見廻り同心・渡辺小五郎(東山紀之)は、新たに設けられた本町奉行所に転属となった。
新しい上司・増村倫太郎(生瀬勝久)から命じられたのは、遊郭の裏座敷に設けられた違法の賭場への潜入捜査だった。
女郎買いの客になりすまし、にぎわう賭場に潜り込んだ小五郎の前に、弥勒坊燕斎(高橋英樹)なる男が現れる。
燕斎は、「世の為、人の為」を合言葉に、幕府の普請改役から次々と大きな土木仕事を受注していると噂の「塵尽会」の棟梁だ。
燕斎の姿を見た小五郎は驚きを隠せない。
というのも、燕斎は、常磐津の師匠をしている花御殿のお菊(和久井映見)の知り合いの男だったからだ。
お菊が「仙吉さん」と呼んで慕う燕斎だが、小五郎は、只者ではない雰囲気を感じ取ったのだった。
一方、小五郎とともに賭場を訪れた 経師屋の涼次(松岡昌宏)は、
ひょんなことから家出娘のお春(剛力彩芽)を助けて一緒に逃げるはめに。
やんちゃなお春の扱いに困った涼次は、仕立て屋の匳(田中聖)にお春を押しつけてしまう。
好きな人に会いたい一心で家出したというお春にほだされた匳は、
しばらく家に置いてやろうと決めるのだが、これが思わぬ結果を招くことになり……。
そんな矢先、小五郎は、増村からまたも潜入捜査を命じられる。
その先は、なんとあの「塵尽会」だった!
今回の見物は、なんといっても高橋秀樹が
俳優生活50年で初の悪役を演じていることだ。
さすが、長年時代劇の主役を張ってきただけあって
その、存在感たるや、やっぱり凄いものがあります。
その、セリフ回し、所作、目の配り方など
もう、これぞ時代劇の悪役。
しかし、今回の必殺スペシャル、残念なところが多い。
通常なら1時間枠ですみそうな脚本を2時間に引き伸ばした感じ。
悪役に高橋秀樹、永澤俊矢、六平直政と持ってきたが
役者にたよりすぎな感がある。
せっかくの2時間なので、高橋秀樹が双子の2役だが、
そのふたりがなぜ争ったのか、わからない。
渡辺小五郎(東山紀之)が双子とごまかしたのを怪しみもせず、
その後、双子とか言っているのも伏線だろうとは気がついたが、
争った理由がわからないため、最後に双子でしたと明かされても、
いまいちピンとこない。
また、花御殿のお菊(和久井映見)との関係がいまいちわからない。
なんとなく夫婦になるように仕向けたが、
そこのあたりもあとはスルー。
このあたりの脚本、演出は?である。
そして、見慣れた高橋さんの演技も悪役そのものなのだが、
なぜかそんなに悪く見えないという部分もあった。
おそらくこれまでの先入観だろう。
これなら、最初から悪役と明かさずに最後は実は悪いやつだったと
したほうが観ている側としては面白かったのでは。
高橋なら悪役はないという先入観があるのだから。
仕立て屋の匳(田中聖)がつかまりながら、あっさりと助かり、
しかお春(剛力彩芽)と与平(満島真之介)もひきつれていたのは、
少しその件がなかったので、少し違和感があった。
今回は和久井映見さんはなにをしていたのか、よくわからない。
もっと活躍の場があってもよかったのでは。
ヒロイン役の剛力彩芽さん、時代劇の役がいまひとつ似合ってないような。
あまりに若いと時代劇は難しいのか。
現代劇ではなかなかだったのに、ちょっと残念。
好演していただけに...。
ただ、彼女の入浴シーンがあったが、まったく色気のない入浴シーンでした。
そして、終盤で、果たせぬ恨みを仕事人に託して息絶えてしまったお春(剛力彩芽)が、
その直後のCMで明るく演技していたのは・・・ちょっと、「う~ん」というでしたが。
CMのタイミングが悪すぎるよ。
与平役の満島真之介、初めて見たが、満島ひかりの弟なんだということくらい。
そして、東山紀之さんは、藤田まことの中村主水のいない
空白を埋めて余りあるものがあったと思う。
マフラーや殺陣で脇差を使うなど、中村主水を受け継いでいるといえる。
時代劇を引き継いでいけるだけの俳優がほとんどいなくなった今、
本当に貴重な存在だ。
もともと若いころから時代劇の似合う役者さんだったところに、
年齢に相応な落ち着きと雰囲気が出てきたように感じます。
また、ぜひとも連ドラで復活してほしい時代劇です。