野田佳彦首相は11日夜、首相官邸で記者会見し、
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、
「明日(12日)から参加するホノルルAPEC首脳会合において、
TPP交渉参加に向けて、関係国との協議に入ることにした」と述べ、
交渉参加を表明した。(産経2011.11.11 20:38)
ところが国会審議で曝け出されたのは、
野田首相本人がTPPなどひとつも分かっちゃいないと云う事実だった。
これだけ多くの国民が心配しているISD条項ですら、
詳しく知らないと本人が認めている。(えー、まさに、ほんまでっか!? と驚愕)
11日に行われたTPPに関する集中審議で、
自民党の佐藤ゆかり議員の質問によって、
野田首相の驚くべき無知が露呈したのだった。
《佐藤ゆかり議員》
10:30~15:37
貿易協定におけるISD条項について説明
16:00~
国内法がISD条項によって曲げられる可能性について首相に質問
《野田首相》
16:15~
国内法で対応できるよう交渉をしていく。
(一時中断)
《野田首相》
17:18~
国内法よりも、条約のほうが上位にあり、
それに対応しなければいけない現実の中で、どう対応するか考える。
《野次》 (西田)
何を言ってるんだ!
どうやって対応できるんだよ!
条約が上だから対応できないんだよ、国内法では!
《野田首相》
19:50~
ISDS(ISD条項)は、あまり過分(寡聞?)に詳しくしらなかった。
条約と国内法との上位関係だったら、条約です(条約が上)。
だからこそ、条約を結ぶために(国内法を)殺したり、壊したりはしない。
《佐藤ゆかり議員》
20:25~
既に日本は中身の条約・交渉は手遅れ
(中略)
憲法に記載してあることを首相が即座に答えられなかったことは非常に驚愕
この件を理解せず、TPPへの参加を表明するのは国民軽視
野田は、ISD条項について知らなかっただけではなく、他の様々なことも知らなかった。
佐藤ゆかり議員による追及で判明した主な野田の無知は次のとおり。
●TPPが国内法に優先することを知らなかった。
●ISD条項のことを知らなかった。
●今からでは交渉参加は半年後だから、条件闘争が出来ないことを知らなかった。
●TPPよりASEAN+6の方が日本の国益になるが、アメリカの国益のためにTPPを選ぶ。
このやり取りを見ても判るように、野田首相はTPPに関する重要なルールも知らずに
途中離脱できない交渉に参加しようとしているのだ。
こんなんも知らんでTPP推進してきたのか、この人はもう怒りを通り越して泣けてくる。
※画像は11月3日放送 関西テレビ「アンカー」より。
ISD条項は“インチキな訴訟で大打撃”条項だ!と宮崎哲弥氏が喝破した。
11日のTPPに関する集中審議では、社民党の福島瑞穂も詰問した。
「(総理は)今日飛行機でAPECに発つわけじゃないですか。ここ国会ですよ!
なぜ総理は国会の中でこのTPP参加の表明をしないんですか?
総理はどこの国の総理大臣なんですか?!
誰のための政治やってるですか?!
国会で参加表明せず、国内ではドジョウは泥の中に居て、
外国に行ってなぜ表明できるんですか?」
反日売国奴の最右翼(最左翼か?)と思ってきたみずほ氏から
「どこの国の総理か?」という言葉が出るとは信じられない思いだ。
もっとも、この場合は「北朝鮮ではなくて、日本の国を指しているんですよね、みずほさん?」
社民党の福島瑞穂に「どこの国の総理大臣ですか?」と言われたら、人間お終いだと思う。
そして、案の定、玉虫色の表現。どうとでもとれる言葉を使って、この局面を乗り切った。
一番喜んでいるのが民主党の反対派議員だろう。
野田さんの会見を受けて、民主党のTPP反対派が次々と詭弁めいた発言をはじめるのだ。
●山田正彦前農林水産相
「ほっとした。交渉参加表明でなく、事前協議(の表明)にとどまった」
「(首相は)党の提言をくんで踏みとどまってくれた」(時事通信11月11日(金)20時55分)
●鹿野道彦農林水産相
「総理は交渉参加表明と言わなかった。
交渉参加を前提としたものではないと理解している」(産経2011.11.11 21:29)
●原口一博元総務相
「総理会見を同志とともに聞いています。
交渉参加に向け関係国と協議ということを総理は会見で言いました。
これを参加表明という記者がいますが、あくまで予備的交渉を言っているのであり、
今までの情報収集をより念入りにやるということであるはずです」(原口氏のツイッターより)
これは、反対派が都合良く解釈してるというより、
野田サイドが反対派に逃げ道を与えてくれたので、ちゃっかりそれに乗っちゃったようだ。
反対派も本当は離党なんかしたくないし、野田さんサイドも離党されたくない。
そこの思惑が一致したんだろう。
要するにこれは、毎度お馴染み民主党の茶番劇だ。
野田さんの会見が1日ずれ込んだ理由については、
この「関係国との事前協議に入る」という、
反対派に配慮した曖昧文言を考えるための野田さんサイドの時間稼ぎだったようだ。
もっとも、森田実氏は、11日放送の関西テレビ「アンカー」(野田首相の会見より前の放送)で、
こんな見解を示していた。
「もしも昨日(10日)決断して、交渉に参加しますと言って、
集中審議で答えられなかったら、これは総辞職になる。
野田さんはきちんと答える自信がなかったので、集中審議を避けて、
ホノルルに出発する直前のぎりぎりに記者会見で『受け入れます』と言って、
飛び立って、オバマさんに『受け入れます』と表明するというシナリオだろう」
しかし、消費税増税の件も、今回のTPPの件も、国会でも、国民にもなんの説明もなく、
決めちゃったのだ。本当にこれで日本は民主主義の国なのか?
TPP交渉参加は日本経済復活のラストチャンスだと野田首相は云うが、何がメリットか説明はない。
なぜラストチャンスなのか、それも不明だ。とにかく参加するって云ったら、参加するの!と、
ヒステリックに叫ぶ感じだ。常軌を逸している。
アメリカという外圧で保身を図ろうとする野田政権、
世論という外圧で保身を図ろうとする似非反対議員、同じである。
国民は真剣にTPPを考え、真剣に議論し、真剣に反対してきた。
そうした国民の切なる想いや決して他人に冒されてはならない心を、
似非反対議員は保身の為に、それを利用し、踏みにじったのだ。ひどいものだ。
野田首相が一日先延ばししたのは、反対派の攻勢が優勢だったからではなく、
拳を高く振り上げ過ぎて引くに引けなくなった似非反対派の、落としどころを用意したに過ぎない。
結果的に、野田首相は真の反対派に邪魔される事なく、
満を持してTPP交渉参加を表明し、そそくさとハワイへ高飛びした。
次は消費税増税となるようだ。