ジャングルマラソン4日目。
5日目がオーバーナイトステージと言って徹夜で走るステージであることも踏まえて、この日は少し短めの中休みステージ。

この日のスタート地点は幅50メートルほどの川のほとり。

そう、完全に川を泳いで渡る。


スタートと共我先にと川に突っ込むランナー達。
その光景を見守る村人達。

言葉が通じなくても表情で彼らの考えていることが伝わってくる。


バカじゃないの?

僕だってはるばる外国から来た70人の集団がいきなり鴨川に突っ込んだら思うだろう。


橋使えよ。。。

そんな表情の村人達を見ながら、僕も川に飛び込んだ。
川を超える僕がとても楽しそうだったのは言うまでもない。


レースが中盤戦ともなってくると故障者が続出してくる。

特に多いのが足のマメ。
マメが破れて血が出るなんてのは当たり前のことで、更にそれが化膿して悪化したり、マメで剥がれた皮膚の下に更にマメができてしまっている人もいた。
ゴール後はもちろんスタート前からメディカルチームは大忙し。

特に僕のいた下位集団は初心者ランナー中心だったこともあって、ほとんど足を引きずって進む人や、リタイアしてしまう人もで始めていた。

もちろん僕も例外ではなくて、2日目の半ばから左足の股関節の痛みに悩まされていた。

ベテランの日本人ランナーの方に相談したところ出た結論は、「運動不足」。

運動不足って。。。OTL
なんかその場に存在することが凄く申し訳ないことのように思えてならなかった。


ただ、原因がなんであろうと痛いものは痛い。左足を動かそうとする時は毎回痛むのだけど、特にひどいのは大き目の倒木を超える時。
ジャングルの地盤は基本的に緩めで道をお構いなしに倒木が塞ぎまくっている。
当然その倒木をのけてくれる人なんかいない。
一つの区間で10本以上の倒木を超えることもザラだったけど、この動作が本当に痛い。

ジャングルの木にはどんなトゲや虫、ヘビなどの動物が隠れているか分からないし、脆い倒木は踏んだ瞬間に折れてしまう可能性もあるので、踏んだりさわったりせずに乗り越えるのがセオリーだ。

ただ、僕は致命的に足が短い。
ご先祖様に文句を言うのは筋違いと分かっているが、これだけは言わせてもらいたい。
短すぎ。

他の参加者がひょいと超える倒木が僕の場合はよっこらせとなる。
この動作と悪化した股関節痛の組み合わせはキツかった。
丸太一本ごとに状態が悪化していき、4日目のこの日にはほとんど足が上がらなかったので手を使って足を持ち上げていたほど。

こんな時、僕は何かルールを作る。
そしてただそれを守ることに集中する。

ジャングルマラソン中の僕のルールはこの3つ。
Keep walking.
Keep smiling.
Enjoy!

もうとにかく何があっても止まらず歩き続ける。
笑顔を保つ。
とにかく楽しむ!(だから写真を取るときと他の参加者が落としたゴミを拾う時だけは止まる)

これだけ守って後はひたすら前に進み続けた。
きっとこの日は時速3キロ以下のスピードだったと思うけど、距離が短かったことにも救われて何とかゴール。


ゴールした先は川のほとりの凄く眺めの良い村だった。

この村にはシャワーが無かったので、川の中に入って直接服と体を洗う。
アマゾン川で体を洗うなんて貴重な体験だなと思ったけれど、ドロドロに濁った川で頭を洗う自分がちゃんと社会復帰できるか少し不安になった。

この日もハンモックで寝ていると、バキバキバキという凄い音がして自分のハンモックをかけていた木が折れて腰から地面に落ちた。
ハンモックというジャングルの中で唯一平穏だった場所が失われた瞬間。
日本に帰りたいと心底願ってしまった。

この日のブリーフィングでは、翌日、翌々日にまたがるオーバーナイトステージの説明が入念に行われた。
僕はほとんど寝ぼけて聞いていなかった。

このことが後に仇となったのだけど、当然この時は知るよしもない。


日本でご飯をお腹いっぱい食べることだけを夢見て爆睡。
僕の体は焼肉を欲していた。