8月の現状
- フィッシュマンズ, 佐藤伸治
- 8月の現状
2作目となるライブ盤。ライブ盤というよりは色々なライブ音源をベースにオーバーダブや編集を加えまくった、異色のライブアルバム。
以前書いたRCサクセションの「ラプソディー」にも似た手法だけど、あれはライブ音源で音やボーカルの悪かった部分に完成度を高めるため手を加えた、という感じだが、「8月の現状」はもっと作為的、実験的な目的を含んでいる。彼らのライブでのアレンジの変化などを考えれば、リミックス盤といってもいいような気もする。
「サウンド・アンド・レコーディング・マガジン 1888年9月号」にアルバム発売にあわせた3人のインタビューが載っていた。ひたすら録音や機材のハナシばかりの雑誌なのでインタビューも専門的な話が多く、音楽雑誌とは違った面白い内容が読める。
「ライブのいろんな要素の中で、冷んやりした部分を強調したいなって思ってた。コンセプト的にはOh! Mountainとは特に変わってない(笑)」(佐藤)
「ライブならではのグルーブとか”この感じがたまらない”とか空気感を大事にした」(茂木)
収録曲が揃った時点でライブっぽく残す曲、エディットしたほうがいいかなって曲に分けてみんなでアイデアを出し合った、とのこと。
「Weather Report」が一番複雑に編集してるらしく、大きく4パートをマスタリングで繋いで作ってるらしい。「最後まで形が見えなかった」(柏原)
「中盤はほとんどスタジオでの生演奏、っていってもバラバラに録ってて、やってて何が何だか分からなかった。(笑)」(佐藤)
「テンポもガンガン上がってるし(笑)」(茂木)
えー、気づかなかった。そう言われて聴いてみるとああここかな、っていう音と音が入れ替わっていくような繋ぎ目っぽいところがいくつかある。でも全体としての完成度が高いのか全く気にならない。
ライナーに各曲の音源の収録日、要はライブの日と場所が書いてあるんだけど、2曲のみ完全にスタジオ録音の曲があるらしい。
「バックビートにのっかって」と「新しい人」の2曲。
これは、当時スタジオでライブ用のアレンジを考えていた最終日に、テープ回しっぱなしで特に決めごともなく90分ほど打ち上げっぽくスタジオライブ、って感じで演奏してたら、力の抜けた良い空気が録れたので入れた、らしい。それ全部聴きたいなあ。
「新しい人」ではサトちゃんが消え入りそうな声で歌っている。
「Just Thing」なんかはアルバム「Neo yankee's Holiday」の曲だけど、ここまで変わってしまったかというアレンジの変化。これがライブを重ねていくうちに得た進化なのか、もう後期はずっとこのアレンジなので、ある意味これが完成形といっていいだろう。これが音源として聴けるのはこのアルバムとPV集だけじゃないかな。
フィッシュマンズはアレンジも含めライブならでの曲の鳴り方があると思うけど、スタジオ盤と聴き比べるとその変化の過程が現れるようで、それだけでも価値のあるアルバムではないかと思います。
個人的には「バックビートにのっかって」「Weather Repot」が好きかなあ。