姫路の救急医療を守る市条例試案 その6
医療と介護の問題に取り組む地域リーダーの会

医療政策集中講義〔編 東京大学公共政策大学院 医学政策教育・研究ユニット 医学書院〕のChapter2 改革の最前線、“Section2 患者・住民主体の医療”地域の医療を最適化するために(論者 埴岡健一)を読んでいて、興味深い二つの表が現れた。2回にわたって紹介したい。

表2-1 患者・住民参画が必要な7つの理由

1.基本的な権利
 日本国憲法にある国民の生存権(第25条)、幸福追求権(第13条)から、一定以上の適切な医療を受ける権利かあると考えられます。
2.医療消費者としてのチェック機能
 保険加入者として保険料を支払って、医療を購入している立場にあります。医療のコンシューマー(消費者)であり、カスタマー(顧客)として、医療の質などをモニターする立場にあります。
3.納税者としてのチェック機能
 医療保険、医療機関の建築整備、医療従事者の育成等、医療には多額の税金が投入されています。納税者として税金が適切に投入され、十分な効果を発揮しでいるかチェックする立場にあります。
4.住民・患者の医療政策策定への参画の責務
 政府の医療計画やその策定ガイドラインに、患者や医療消費者が政策決定プロセスに参加する役割があることが記載されています。
5.社会からの期待
 国民の医療への不満の対象は、医療政策決定プロセスの市民参加の不十分さであり、国民は、医療政策の決定は市民代表・患者代表が主導すべきと考えています.
6.当事者からの参画の希求
 患者団体、患者関係者が政策決定プロセスの全体に参加したいとの強い希望が高まっています.
7.社会にもたらす効用
 患者アドボケートはすでに法律制定、条例制定、施策策定、予算確保、資金集めなどに活躍し、社会に成果と効用をもたらしています。

出典:日本医療政策機構市民医療協議会。患者アドボカシーカレッジ「O-1アドボカシー(政策変革活動)とは」より一部改変
 アドボカシーとは(政策提言/権利擁護)をすること、する人のことです。
 
私は上記のように考えて活動をしたことがないので、よい勉強になりました。私は姫路の街も人も大嫌いなので、少しでも好きになれるような街にしたい、と思って活動をしているだけです。このように四角四面に考えるケンちゃん(埴岡健一)の、隣に住んでいる彼のお母さんからは、私は未だにタカヨシちゃんと呼ばれています。


姫路の救急医療を守る市条例 を策定するための 条例試案 6

【6】 姫路市救急医療情報センターを設置し、そのデータバンクとしての機能を強化することに努め、かつ登録義務のある実効性のあるものにする。情報センターでのデータは施設名を匿名で開示を行い、データをもとに各病院の救急医療診療部門の連携の在り方について話し合う。

阪神・淡路大震災においては、情報の重要性が認識された。同年3月の「主な教訓」から5月の緊急提言。翌年5月から各災害医療対策事業が進められている。
 情報の重要性から、広域災害救急医療情報システムの整備が進められた。
 災害時、被災地内外の医療機関の情報を共有し、医療関係団体、消防本部、保健所、市町村行政機関が、有効な災害医療対応を実施することを目的として、都道府県が導入している。
 表8-3厚生省による「あり方検討会」では「地域単位での強化」を強調している。ここでいう地域単位とは二次救急医療圈もしくは保健所の所轄管区としており、この単位における情報ネットワークの確立を重視している。
国や県による取り組みはあるが、それを強化する地域単位の取り組みは、残念ながら姫路にはない。情報システムの耐震化が疎かになっていると言わざるを得ない。
 表8-4「局長通知」にも示されているように、救急医療とは一種の危機管理システムであり、災害時の救急医療情報は日常に整備されている救急医療情報システムの充実度に依拠する。したがって、救急医療の現場が求める医療情報の種類や、システムの機能や性能等を調査・検討するとともに、救急医療の実態に即した高度医療情報伝送システムの導入は緊急を要する。
 すでに整備されて使用中の情報インフラである”阪神医療福祉情報ネットワークシステムむこねっと http ://www.mukonet.org/ 等も大いに参考にしなければならない。