千春（真城千登世/岩井友見）への想いから士官の先を上杉家と決めた中山安兵衛（勝新太郎/本郷功次郎）がその報告のために一刀流師範の堀内（嵐三右衛門/河野秋武）を訪れる。婚礼が決まった千春も訪問していると堀内から聞いた安兵衛は呆然とする。彼女が嫁ぐ先は丹下典膳（市川雷蔵/松方弘樹）。それを知った安兵衛はまだしばらく浪人でいると堀内に言う。雨の中（秘剣破り：雪の中）、悲嘆する安兵衛が偶然出会ったのは赤穂藩家老の堀部（荒木忍/加藤嘉）だった。そして安兵衛は浅野家に士官することになり、堀部の養子となる。 典膳が京都へ出向いている間、千春を知心流の者たちが輪姦する。典膳との斬り合いで生き残ったがあまりに傷が深いため道場を破門になり、恨みに思った五人の仕業だった。手引きした女中の三重（大和七海路（藤原礼子）/小林直美）は事が終るとあっさり斬られてしまう。仕える嘉次平（寺島雄作/花布辰男）から事情を聞き、典膳は五人が誰なのかを知る。五人は千春に安兵衛が密通していたとの話を広めてもいた。典膳と安兵衛を対立させようという策略だった。
江戸へ戻った典膳に白装束の千春は成敗してくれと哀願する。罪はなくとも別れる他ないが、死んではならぬと典膳が諭す。
［薄桜記］典膳は千春の父長尾権兵衛（清水元）らを宴席に招く。その席で典膳は嘉次平に用意させておいた狐を刺し、千春の密通は妖怪変化の仕業だと見せかける。しかし、生類憐みの令の時代、ただ事では済むはずもないが、典膳は千春の名誉を重んじて内密にしてほしいと願う。
数日後、典膳は七面神社で千春に長尾家に戻るよう言う。不義密通の疑いは晴れたが、五人に犯された事実は消えないのだった。泣き崩れる千春。彼女を愛する典膳はお役御免を申し入れて五人を斬ると言う。
［秘剣破り］典膳と千春はすぐに長尾家に出向く。