昭和初期の九州戸畑。やくざ者の古田誠(松方弘樹)が祝いの席にいた戸宮組の親分(内田朝雄)をどすで刺し殺し、見ず知らずの遊女(久保菜穂子)の部屋へ逃げ込む。戸宮組に殺された父の豊次(早川雄三)の仇討ちだった。戸宮組の仕業だという情報は刑事の森(小林昭二)が誠に伝えていたのだった。そして、遊郭「梅の家」は戸宮組と争う納谷組のものだった。
しかしこれは、豊治を殺し、誠に戸宮を殺させ、そして戸宮組に誠を殺させるという納谷(山本麟一)と森が仕組んだ罠だった。それを知った遊女は誠に逃げるように言うが、彼は納谷と子分がいる部屋へ斬り込む。表へ逃げた誠だが、そこへ殴り込んできたのは、梅の家から親分殺しの犯人がいると連絡を受けていた戸宮組の連中だった。誠の窮地を救ったのは大阪を本拠とする大原組の榊常太郎(田村高広)。常太郎は誠を大阪へ連れて帰ることにする。
対立する天王寺組に大原組のトラックが爆破される。血気盛んな常太郎は我慢ならないが、大原は死んだ運転手の弔いと遺族の世話が先決だと言って押しとどめる。
無銭飲食しようとして叩きのめされていた男は刑事の森だった。通りかかった誠に森は、子分の人望が集まっていた豊次をおそれた納谷の計略で、自らも利用されて懲戒免職となったと言う。そして父を殺したのは「たちばなともあき」という殺し屋だと聞く。
天王寺組はさらに大原組の船を故障させ、運送の契約を横取りする。ひとりで天王寺組に乗り込んだ誠は、運送契約と命を引き換えにして田口組長(北村英三)と丁半勝負に挑む。お決まりのいかさまである。契約書を懐に入れて誠は去る。そんなとき、常太郎に召集令状が届く。
常太郎と訪れた温泉旅館で誠は殺してしまったはずの戸宮にばったり会うが、戸宮は生き残って堅気になり、誠を恨んではいないと言う。そして常太郎は誠に親分と盃を交わし、復員してくるまで組を取り仕切ってほしいと頼む。誠は断るが、常太郎と兄弟となって兄貴のために組を守ると約束する。
出征祝いの日。誠に会わせろと組にやって来たのは森。夜中に大原の命を狙って天王寺組が殴り込みをかけると言い、森は近くにあった包丁で小指をつめて誠を信用させる。宴会の最中、誠の姿が常太郎が預けた長どすとともに見えなくなる。察した常太郎は車で後を追う。