遠藤周作による原作は読んでいない。「海と毒薬」は読んだはずだが、さっぱり内容は覚えていない。だから狐狸庵先生と言えば、「ネスカフェ」の「違いのわかる男」かな。いま思えば、同じカトリック教徒だったグレアム・グリーンとの共通点がいろいろな作品の中にあったのかもしれない。グリーンは結婚したいと思った相手がカトリック教徒だったために改宗した人。しかし浮気者で、また訪れた街では必ず売春宿に行ったという。

そして「沈黙」だが、棄教を題材にしており、これはかなり重い作品。ポルトガル人という設定の「パードレ(神父)」役、ディヴィド・ランプソンとは何者だったのだろう。情報がない。

自分にとっての新発見はマコ岩松。本拠はアメリカだから、早川雪洲の後継者のような存在だったのだろう。「菊」役の岩下志麻は、後年のわざとらしい姐御役よりずっといい。殿山泰司にまた会った。

もうひとつの発見。作中、「転(ころ)ぶ」という言葉が何度も使われる。調べないと意味がわからなかった。江戸時代に御法度だったキリスト教からの改宗を意味する。