いずれも日活ロマンポルノ。「四畳半襖の裏張り」は、あっちこっちで米騒動が起こる大正期、東京の花街での話。初々しさを見せる芸者と米騒動なんぞ関係なしという感じの客との交わり。日活ロマンポルノの名作とされとる。

「肉体犯罪海岸 ピラ二ヤの群れ」は不良グループと邸宅に住む一家の話。不良グループがこの邸宅を襲う計画を立てるんやけど、その邸宅内ではや、旦那は嫁はんの留守中に愛人を連れ込み、嫁はんは嫁はんで、娘の婚約者と浮気してるという有様。最後にグループは仲間割れし、ライフルが乱射される。日活ロマンポルノに詳しいことないけど、典型的な「その匂い」がするような作品。おもしろくはない。

それでや、「四畳半襖の裏張り」と「肉体犯罪海岸」には「ぼかし」が入っとる。何をぼかそうとしてんのか、ようわからん場面もある。

題名は強烈やけど、あいりん地区や新世界を舞台にして娼婦の母娘が登場する「㊙色情めす市場」も名作や思う。ただやな、主役「とめ」を演じる芹明香の大阪弁がひどいんや。母役で共演してるんが花柳幻舟やから、なおさらひどさが目立つ。宮下順子にも合格点はやれんわ。「あ」と「う」しか言わへんけど、とめの弟「さねお」を演じる夢村四郎は名優。

風景には、通天閣、阪堺電車、「づぼらや」、天王寺駅前、「かに道楽」。大阪城といっしょに3度、野球場らしきもんが写る。日生球場に違いない。通天閣、阪堺電車、「づぼらや」、天王寺駅前に「かに道楽」となればや、日生やのうて写されるべきは大阪球場やろ。「熟れすぎた乳房」に続いて、ここでも「アサヒビールかけ」が見られるけど、1970年代の真ん中あたりで、はやってたんやろか。知った日本語:ローズ物(もん)