現れるかどうかわからない犯人を待って張込む二人の刑事。緊張が持続する映画だ。主役の柚木刑事は大木実が演じている。犯人の石井(田村高広)は話のずっと後半になってから登場する。横川さだ子(高峰秀子)と石井を追う柚木刑事を乗せた車を空から撮影した地上の映像はジオラマのよう。

黒澤明作品にしばしば出演した宮口精二が下岡刑事、藤原鎌足が弓子の父、そして「生きる」で重要な役柄を演じている小田切みきが旅館肥前屋の女中という配役。また、テレビドラマでは家政婦の印象しかほとんどないが、実は多数の映画に出演している菅井きんが下岡刑事の妻役。いつもおばあちゃん役の浦辺粂子はやっぱりおばあちゃん役だった。内田良平は内田良平だとわからなかった。

当時なら当然のようにNHKの受信料を払っているさだ子が住む家の近所に貼られた「佐星醤油」の看板が何度も写り込むが、この醤油醸造会社は現在も存在する(http://www.saboshi.co.jp/index.php)。