「諸外国の動向を注視して……」なんて言って、主体性の欠如がときどき情けないほど顕著になる日本だが、二国の事情を紹介する。

職業や職種にもよるかもしれないが、ベトナムで就労査証を取得しようとすると、本国で犯罪歴がないことを証明しないといけないことがある。これは日本の警察が証明することになるが、「犯罪歴あり」の証明ならもっと容易かもしれないが、「なし」の証明書を得るには数カ月を要するらしい。

そして数年前にシンガポールで実際にあったこと。新型コロナウイルスの感染がおそろしく広がり始めていた頃、シンガポール政府は感染拡大を食い止めようと「回路遮断(Circuit Breaker)」の方針を打ち出し、違反者を検挙した。日本にように「お願いだから、でかけないで」ではないのである。その頃、数人の外国人が屋外で宴会を開いていた。しっかり見つかってしまって検挙され、査証は取り消された。そして国外退去を命じられただけではない。裁判所は二度とシンガポールへの入国を許可しないと言い渡したのだった。