「やさしい日本語」なんて、やたらと広めてもらっては困るのだ。

ひらがな、カタカナ、漢字を使用することだけからしても、日本語はおそらく世界にある言語のなかで複雑度が高く、習得しにくいはず。また、言語というものは常に変化し、それはしばしば簡略化の方向に進むということも知られている。だからと言って、簡略化を意図的に進めることは言語の退化につながる。

日本語を母語としない人にことさら迎合するのではなく、日本語の複雑性を認識したうえで習得しようとしてもらうように促すのがあるべき道ではないか。

簡略化した英語を日本の言語にしようとした明治初期の森有礼、新たに日本領土となり日本国民となる人たちのためにも日本の国語は日本語より単純なエスペラント語にせよと主張した戦中の北一輝まで思い出してしまう。

いずれ、「暗証番号」(「ナンバーのパスワード」って、カタカナ化だけで十分イヤなんだけど、ナンバーはワードなんか?)も「安置」も、死語となるのかもしれない。