チャンギ空港での搭乗手続きの自動化、無人化は今に始まったことではなく、ずいぶん以前から予約が事前に完了していればパスポートを、昔なら搭乗手続きの列ができていた場所にある端末でスキャンすれば搭乗券がそこで発券されてはいた。

2020年1月を最後に空路で渡航することはなかったのだが、先週、シンガポール航空を利用したところ、パスポートをスキャンすると搭乗券とともに預け入れる荷物用の「バッグタグ」も同時に端末から現れ、荷物を計量コンベヤーに乗せると顔写真が自動で撮影され、荷物は消えていった。

誰とも会わず、また会話せずに搭乗手続きを終えることができるのだが、チェックインカウンターでパスポートを提示して、「どちらへご旅行ですか」などという会話に慣れきっていれば、この自動化でまごつく人もいるだろう。

自分自身も「え、何これ」と少々まごついた一人で、荷物の預け入れには係員の助けが必要だった。「これは便利か不便か」と言ったところ「これまでなら30分も待つことがあったが、今はこの通り」という返答だった。

また入国手続きについては、国民、永住者、長期滞在査証保持者に限られていた自動改札みたいなゲートを抜けての入国が、現在は観光目的の入国者でもQRコードをスキャンして必要事項を入力すれば、同じように入国することができる。しかし、入力しないといけない項目は少なくないので、2分や3分ではすべてを入力することはできない。

そしてだ。QRコードのスキャンが可能な「スマートフォン」を持っていない人、そもそも電話番号のない人はどうやって渡航できるのかという疑問がどんどん大きくなっていくのだ。